冬タイヤを探せ!  (18.01.2016)

ドイツ語で"Winterreifen"(冬タイヤ)。日本語ではスノータイヤ。珍しく、日本語のほうが目的に適合しており正確な表現だ。というのも冬には装着するというものではなく、積雪時、あるいは降雪時に装着するタイヤだからだ。法律も同じような解釈をしている。法律についてはすでに詳しく紹介しており、その後も変更がないので、今回は冬タイヤの入手方法について紹介しよう。

まだ10月というのに、すでに始めての降雪。少し東にいくと積雪。流石バイエルン州。冬支度を急いだほうがよさそうだ。車に合うタイヤを探す手間を節約してBMWに行くと、「アルミホイール+冬タイヤのセットは1900ユーロから。」とのこと。一番安いタイヤとホイールのセットで、ドイツ人の一ヶ月の平均収入(手取り)もする。流石、高級車。「大事なのはタイヤ。アルミホイールなんか要らない。"Stahlfelge(鉄のホイール)+冬タイヤだと幾ら。」と聞けば、"Das ist aber verboten."(禁止されています。)とのこと。2年間居ない間に法律が変わったのか。「掘り出し物はないの?」と聞くと、「中古のタイヤを見てみよう。」とのこと。記録を見ると値段は600ユーロから。BMWにしちゃあ、あまりにも安い。「BMWが中古のタイヤを販売しているとは知らなかった。」と言えば、リース契約で使用した冬タイヤセットがあるので、これを販売しているとのこと。残念ながら在庫があるのは別の支店なので、見ることはできなかった。

翌日、アウグスブルクの南にあるBMWまで。早速、中古の冬タイヤを見せてもらうと、タイヤの溝はもう4mmしか残っておらず、しかも4年もの。皆まで言えば、ホイールの損傷が激しく、とても売り物とは思えない。法律上は、タイヤの一番浅い溝が1.6mmあれば合法だ。ただし4mm未満になると冬タイヤとしての効果を失うので、雪の中を走行したいなら4mm以上の溝があることが条件だ。違反切符をもらわないために冬タイヤを買うなら、4mm未満でも構わない。さらに溝が4mm残っていても、タイヤが古くなるとゴムが硬くなり、冬タイヤとしての効果を失う。法律上の制限はないので、溝が1.6mm以上残っていれば10年物でも違反切符をもらうことはない。自動車クラブは、「5年までの使用」を薦めている。皆まで言えば、「購入してから5年間」ではなく、製造日から5年間だ。「タイヤの製造日なんてわからない。」とお嘆きの方は、タイヤの側面に注意してみよう。そこには"DOT"という文字の後に、4713と刻印されている(一例です)。これは2013年の47週、すなわち11月末に製造されたことを示す。

「もうちょっと程度のいいタイヤとホイールはないですか。」と尋ねると今度は18インチのホイール+冬タイヤを見せてくれた。値段は800ユーロ少々。ホイールは1本を除き、程度がいい。溝は相変わらず4mmなので、1年が精一杯。ホイールを修理に出すと最低100ユーロ/本。18インチのタイヤは高いので、来年新品に買い換えると4本で700ユーロはくだらない。計800ユーロ。結局1700ユーロも出費して、わざわざホイールを修理に出さなくてはならない。これでは新品を買うのとあまり変わらない上、面倒な作業が生じる。正規代理店で中古タイヤを買うのは、ペイしない。

とにかくこれで値段の目安がついたので、2日間無駄になったわけでもない。以前、傷だらけのホイールを買ってしまって苦い経験をしたEbayで、中古のタイヤ+ホイール探し。これが結構な掘り出し物の宝庫。お隣のミュンヘンで「傷なし」のBMWの17インチホイール+冬タイヤ(4mm)が800ユーロで売りに出ている。安い!メールで問い合わせ。30分で返事が来て、「明日、購入希望者が見に来る予定。欲しければ、今すぐ来てね。」とのこと。すでに19時過ぎ。知らない町を、夜走行すると車をぶつけそうなので、断念。翌日、捜索を再開。今度は聞いた事のないバイエルン州の片田舎。17インチのBMWの正規ホイール+冬タイヤ、Profil(溝)5/6mmが600ユーロ。田舎は購入者が居ないので安い?ネットで町の名前を入れると、ここから西北に60kmの距離。ガソリン代を入れてもまだ安い。もっとも半日無駄にしたくないので、電話で状況確認。「どんな具合ですか。目立つ傷はありますか。」と聞くと、「綺麗だよ。」とのこと。行ってみる価値あり?現金をお財布に押し込んで出発。

ナビゲーションのお陰で、迷うことなく1時間で到着。そこは小さな自動車販売店。店主はイタリア人。「リースしていたBMWの契約が切れて、車を買い替えたのでタイヤが残った。」とのこと。新車はジャガー。「18インチのタイヤは(中古)でも、1000ユーロもするぞ!」とイタリア人。そこでBMWの中古タイヤを「頭金」にして、ジャガーの冬タイヤを買うらしい。タイヤはネットに書かれていた通り、2014年物でフロントはまだ6mm、リアは5mmのProfilが残っている。新品は9mmのProfilだから、1年で3~4mmも削っている。聞けば1年で2万5千キロ以上走行するらしい。車でイタリアまで帰っているのだろうか。「以前、騙されて傷だらけのホイールを買ってしまった。」と、念入りにホイールをチェック。一本だけ少し傷があるが、他の3本はとてもいい状態。すると、「これはヤバイ。」と思ったのか、「実は。」とイタリア人。「左フロントのタイヤは空気漏れする。」とのこと。「空気漏れがあると、安心して車に乗れない。」と言えば、「BMWはタイヤの空気圧センサーが付いているから、大丈夫。」とイタリア人。一体、何が大丈夫なのだろう?

「空気漏れするタイヤ」と知っていれば、わざわざでかけてこなかったので、もう少し電話で詳しく聞くべきだった。道理で値段が安かったわけだ。タイヤが使い物にならず、買い換えると最悪の場合300ユーロ程度かかる。というのも同じ車軸には同じタイヤを装着する必要があり、左はダンロップ、右はブリジストンというわけにはいかない。左右同じ種類のタイヤでも、Profilが異なる場合、ブレーキ性能に悪影響を及ぼすので、往々にしてタイヤは両方交換する羽目になる。600ユーロで安いお買い物が、900ユーロの高いお買い物になるかもしれない。運よく中古で同じ程度の同じタイヤが見つかれば、100ユーロで済むかもしれない。ちなみに個人の間の買取なので、ここで紹介している通り、あとから返品はできない。どうする?

半日無駄にするのが悔しくて、「毎回、空気圧をチェックする必要があるほどひどくない。」というイタリア人言葉を信用して、購入。ただし580ユーロで。その後、トルコ人経営の修理工場でタイヤを交換してもらうとたったの15ユーロ。デユッセルドルフのほぼ半額。このタイヤで200kmほど走行。給油のついでに空気圧をチェック。確かに少し空気圧が下がっていたが、それほどでもないので一安心。「いいお買い物をした。」と少し安心。その2週間後、念のため、空気圧を再度チェック。すると今度は空気が見事に抜けていて、パンク状態。イタリア人の一本勝ち。

お陰でまたしてもタイヤ探し。まずは中古。Ebayで探すと2本で100ユーロ。送料20ユーロ。ただし溝は4mmと状態はよくない上、2012年物。新品は1本145ユーロ。どっちにする?中古を買ってまた騙されるのが嫌で、新品を注文。もっとも2本買うと高いので1本だけ。2日後メールが届き、「在庫がありません。」とのこと。三度目のタイヤ探し。しかしすでに12月。冬タイヤは誰も買わない夏に買うと安く、12月になると一番高く、一本150ユーロもする。やっと届いたタイヤを持っていくと、「これはタイヤが違う。」と修理工場のお兄さん。「何が違うの?同じサイズ、同じ名前(ちなみにDunlop Sport 3D 225/55 R17 97H)じゃん。」と聞けば、「BMWにはルンフラット タイヤじゃないと装着できない。」と言う。ルンフラット?ちんぷんかんぷん。紙に書いてもらうと、"Runflat"。「何が違うの?」と聞けば、これはパンクしても、しばらくそのまま走れる特殊なタイヤとのこと。そう、"Run"(走行)、"flat"(パンク)のことだ。なら、「ランフラット」と読んで欲しい。ちなみにドイツ語では、"Notlaufeigenschaft"と言う。こちらのほうが分かりやすい。

もう探すのは散々。「こちらでタイヤを注文すると幾らになりますか。」と聞くと、「供給先の値段を見てみる。」とお兄さん。長~く探した後、「高いから、ネットで探して買ったほうがいい。」とのこと。値段を言うのもはばかれるらしい。「ちなみにどのくらい?」と聞けば、「209ユーロ。俺の車ならこの値段で4本買える。」とのこと。流石にこれはちょっと高すぎ。使えないタイヤをトランクに入れて、パンクしたタイヤで帰宅。タイヤをサランラップでぐるぐる巻きにして、返送準備完了。そして4度目のタイヤ探し。ネットで"Dunlop Sport 3D 225/55 R17 97H runflat"と検索。ここでヒットしたタイヤを注文。今度はおフランスから送られてくるらしい。配達を待っているうちに不安になり、販売元に電話で問い合わせ。「これ、ランフラットですよね。」と聞けば、「なんだ、そのランフラットってのは。」と英語は通じない。今度はこちらのほうが専門家。「"Notlaufeigenschaft"のことです。」と言えば、「送ったのは普通のタイヤ。」とお姉さん。タイヤの特徴に、「これはパンクしても走れる特殊なタイヤです。」って書いてあるのに、違うらしい。ネットの品物の表記はあてにならない。届く前に返送決定。

5度目のタイヤ探し。今度は市内の店舗にしらみつぶしに電話。在庫があるのは一軒だけ。値段を聞けば、なんと210ユーロ。冬タイヤは12月に買うものじゃない。結局、またネットでタイヤ探し。するとお目当てのタイヤの中古がEbayで販売中。それも一本だけ。2013年物。"Profil"は7mm。「BMW5シリーズ専用の冬タイヤ Runflat。」とあるので間違いなさそう。中古なのに99ユーロとちょっと高いが、販売先は(トルコ人)デイーラーなので消費税込みになるから仕方ない。その分送料込みで、返品も可能。注文するともう翌日に届いた。幸い、クリスマスまでまだ2週間(クリスマス前はプレゼントの配送で大忙し。配達は倍の時間がかかります。)早速、タイヤを検分。程度は申し分なし。DOTは4713。今、履いているタイヤが2014年物でProfilが6mm。これなら左右取り替えなくても、これだけでいい。おまけに"Runflat"と刻印されているので間違いない。パンクしている車で、修理工場まで。パンクしている状態で3週間くらい走っている。流石は"Runflat"。「これでどう?」と言えば、「良さそうだね。」とお兄さん。

「実はタイヤがパンクして空気が抜けるのか、それともホイールが損傷していて空気が抜けるのかわからない。」と言うと、「この前見たら、タイヤに釘がささってた。」との事。ふ~、一安心。ホイールを交換すると、300ユーロじゃ済まない。たったの15ユーロでタイヤを交換してもらい、2週間後に空気圧をチェック。多少抜けてはいるが、まあこんなもの。結局、一本の冬タイヤを入手するのに、4回も注文、支払い。支払ったお金が戻ってくるまで、さらに3週間。教訓。個人間での売買は騙されることが多く、おまけに返品できないので要注意。デイーラーで買えば返品できるので、中古品はデイーラーで買ったほうが良さそうだ。そうそう。修理工場で聞けば、"Stahlfelge"(鉄ホイール)に冬タイヤを履いても、違法ではないとのこと。BMWが言う、"verboten"の意味は、「(儲からないので売っては)いけない。」という意味だったのか?


"Run Flat"
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