0%  (17.12.2015)

インターネットで探し物をしていると、「おめでとうございます。あなたが100万人目の訪問者です。以下の賞金を受け取るには、、、。」なんてメッセージがちょくちょく出てきます。普通は、「人前では口もきけなかった私が30日でどうなった。みたいな下手な詐欺。」と無視しますが、「本当に当たったんでしょうか。賞金をもらうにはどうすればいいですか。」とご相談をいただきます。若いと経験が少ないので、騙されていることに気がつかないご様子。その若さの絶頂でドイツに来ると経験はゼロ、言葉、慣習、法律がわからないので、一度や二度は騙されても仕方がない。ところが50代のドイツ人男性、それも自分の会社を経営していた人が、「0%のクレジット(分割払い)で、新しいコンピューターを買った。」と喜び顔。経験豊かなドイツ人が、こうのようにいともあっさりと家電屋の宣伝に騙されるなら、ドイツに住む日本人はどこまで抵抗できるだろう。「一体、何処が詐欺なんですか。」と思われる方も居るだろうから、まずはその巧妙な詐欺の方法について説明しておこう。

家電屋で分割払いの契約を結ぶと契約先は家電屋ではなく、銀行になる。理性がまだ機能するなら、銀行が金利が0%の融資を行っては、仕事ばかりで赤字商売になるので、何処かに"Haken"(鍵)があるに違いないと、疑い深くなってもいい筈だ。実際その通りで、最初の落とし穴は分割払いの回数にある。往々にして金利が0%の分割払いは、10回、あるいはもっと少ない分割払いに限られている。それ以上の期間/回数の分割払いでは、金利を払うことになる。例えば1000ユーロの品物を、毎月100ユーロの分割で買ったとしよう。これなら10回で支払いが完結して、利子がかからない筈だ。ところが最初の月賦の引き落としを見てみると、32ユーロしか引き落とされていない。これでは支払いが完了するまでに3年もかかってしまう。おまけに11ヶ月目からちゃっかり金利が課されることになる。それもなんと15%。

「話が違う!」と家電屋に苦情を言いにいくと、「契約書にちゃんと書いてありますよ。」と言う。そう、10ページを超える契約書の何処かに、「引き落とし額は毎月32ユーロの36回払い。」とちゃっかり記載されているのだ。客が、「利子のかからない10回払いにしてください。」と言っても無駄で、「はい。わかりました。」と言いながら、ちゃっかり36回払いで契約書を作成するのが、この家電屋の特技。「話が違う。」と苦情を言っても、「ちゃんとサインしていますので、条件に了解された証拠ですね。」と言われて、勝ち目はない。0%の金利で鴨をおびき寄せると、ちゃっかり15%の借金契約を結んでしまうという手口だ。

ところが本当の問題はこれからだ。この家電屋はCommerzbankの子会社、Commerz Finanz GmbHと契約を結んでおり、0%の分割払いの契約はこの銀行と契約、それも借金契約を結ぶ形となる。契約をしてしばらくすると、CashCardが送られてくる。家電屋では何も聞かされてないので、「これは一体何なの?」と驚くが、これは一種のクレジットカードで、このカードを使ってますます借金をしてもらおうという魂胆だ。いうまでもなく金利は15%。低金利の時代にこれほどおいしい商売はない。「じゃんじゃんお買い物ができて、いい事ずくめ。何処が悪いのかわからない。」という方、クレジットカードでの支払いと異なり、借金契約をするとドイツでの生活で必要になる"Schufa"のスコアが下がります。アパートを探したり、何か大きな出費が必要になった際、スコアが低いと信用不足でアパートが借りれなかったり、銀行に借金をする際、「リスクが高い。」として高めの金利を要求されます。しかもこの記録/スコアは3年間も残ります。必要もないのに、金利がゼロだからと不必要に借金をするべきではない。

さらに"0%-Finanzierung" で客をおびき寄せて契約を結ぶと、ちゃっかり手数料が返済額に含まれている。勘定が合わないので「これは何ですか。」と相談に行くと、「払い先は銀行になりますので、銀行手数料です。」と言われる。契約時には言わないで、契約書にこっそり書き込むのがミソ。多少とも良心的な販売員は手数料がかかることを教えてくれるが、これが30~50ユーロと結構お高い。仮に1000ユーロの家電製品を買ったなら、「0%金利」の実質金利は3~5%になる。どうしても借金で何かを購入される場合は、"effektiver Jahreszins"という言葉を捜そう。これは手数料など、借金/分割払いで発生するすべての費用(手数料)を込みで計算した利率だ。しかし、"effektiver Jahreszins 0%"(実質金利0%)と書いているのに手数料を要求してくることもあるが、これは法律違反だ。「"effektiver Jahreszins 0%"って書いているのに、手数料を取るのはおかしいんじゃないですか。」と事情通の客には奥の手、"Restschuldversicherung"が用意されている。

借金をする際、担保になる物件、あるいは保証人が居ない場合に、借金を返せなったケースに備えて加入するのが"Restschuldversicherung"(借金保険)だ。例えば本当に"effektiver Jahreszins"0%で、キッチンを36回の分割払い/借金で購入しようとする。しかしそれでは銀行にとっては、そこで客を実質金利0%でおびき寄せると、"Restschuldversicherung"をこっそり契約書に追加する。ほとんどの客は、「実質金利0%」を信じているので、キッチンが欲しくて契約書を読まないでサインする。落とし穴に気づくのは、支払いを始めてから。36回払いを合計してみると、ちゃっかり借金保険料が追加されている。

金利0%という謳い文句は、「卵1パック20円」みたいな商法で、実際に卵だけ買って帰ろうとすると、ちゃっかり140円請求される。「20円じゃないの?」と聞けば、「お買い物総額5000円以上の場合に限ります。」と言われるのと同じ。この低金利時代、銀行はなんとかしてクレジット(借金)を(必要ない)人に売り込みたくて仕方がない。小売店はなんとかしてネットに負けない利点が要る。結果、この両者がコラボ、0%金利という商売方法が生まれた。借金を抱えて首が回らないドイツ人を見ると、最初に借金(ドイツではクレジットという)で何かを買う。欲しい物がすぐに手に入る手軽さの魅力に負け、一回では済まず、次々にクレジットで最新の家電製品を揃え、歯止めが利かなくなっていく。この消費地獄に落ちやすいように、銀行はいろんな手管を用意してる。

ドイツの銀行で口座を開くと、"Dispokredit"という機能がついてくる。これは口座の残高がゼロなのに、お金が引き下ろせる機能だ。一種の借金だが、書類の手続きがなく気軽に現金を下ろせるので、この借金を利用する人は多い。落とし穴はその金利。安い銀行でも12%、高い銀行では16%もの金利だ。この低金利の時代、この"Dispokredit"は銀行にとって金のなる木なので、口座を開くとこの機能が自動的についてくる。若い人はお給料よりも、購買意欲のほうが高く、ちょくちょくこのデイスポを利用するので銀行にはとってもいいお客さんだ。デイスポを頻繁に利用する人は、往々にしてデイスポだけでは済まず、カードの返済も返済も抱えている場合が多く、最後には借金を返せなくなる場合も多いので、お金もないように見栄と欲に負けて気軽にお買い物をしないようにしよう。


ただより高いものはなし。
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