愛車のお手入れ  (11.03.2014)

「何故、ドイツでは誰も路上で車を洗っていないのでしょう。」と、早く愛車を洗いたくてウズウズしている日本人。ドイツ着任以来、路上で車を洗っている光景を一度も見かけなったので、「これには理由があるのではないか。」と疑いだしたわけだ。「誰もしていないことは、しないほうがいい。」というのは何処の国でも通用する初心者の心構えだ。

ドイツに留学してみてビックリ!学校までの途上、道は街路樹の栗の木が撒き散らした栗の実で埋まっていた。ドイツ人は栗に興味がないようで、車でひき潰して走っていく。「こんなうまいものを食べないなんて!。」と他の日本人と一緒に大収穫。あまりに数が多いので、大きな物だけ収穫。鞄は拾った栗ではちきれんばかりに膨れ上がった。学校の授業が終わって宿題をやっていると、ドアをノックする音が。ドアを開けてみれば、ゲッソリした顔つきの日本人。口を開くなり、「栗、食べましたか。」という。とてもまだそんな余裕はなかったので、「まだ。」と言えば、「あれは毒栗ですよ。」と言う。なんでも早速、生でかじってみたそうなんだが、10分もしないで腹が下り、下痢が止まらないという。そう、ドイツ人はご丁寧にも食べられない毒栗の木を街路樹として植えていたのだ。道理で誰も拾っていないわけだ。

路上洗車も同じ。ドイツで誰も車を路上で洗っていないのは、法律で禁止されてるからだ。それを知らないで洗剤で車をゴシゴシ洗っていると、下手をすると数万ユーロの罰金を科される危険性がある。一体、何でそんなに罰金が高いのだろう。

日本なら、「禁止です。」で議論(思考)が止まるが、ドイツに来たら「何で禁止なの。」と毎回、尋ねる癖をつけておこう。ドイツ人は合理的な人間なので、こういう質問が好き。日本人と違って、「禁止なんだから禁止なんだ。」と逃げないで、何故、禁止なのか教えてくれる。ドイツで路上洗車が禁止されているのは"Grundwasser"(地下水)を汚染する危険がある為だ。路上で車を洗うとその油汚れや、洗剤の有毒物質は処理されず、そのまま地下水や河川に流れ込む。我々の飲み水は河川から得ているので、その飲み水を汚染するのはよろしくない。誰だってオイル臭い水を飲みたくはないだろう。だから路上で車を洗うことが禁止されているのだ。

洗車ならまだしも、路上でオイル交換なんぞやってしまうと、オイルが地下水に流れ込み、飲み水として利用できなくなる。これを防ぐため、オイルが地面に流れ込んでいると、地面を掘って汚染された土を除去してオイルが地下水に流れ込むのを防ぐ。この費用が数万ユーロかかる。例えオイル交換をしなくても、車の裏はグリスやエンジンオイルなどがびっしりつているので、車を洗うとオイルが路上に落ちるのは避けられない。そんな事は知らないで車を洗っていると、ドイツ人に警察(正確にはOrdnungsamt)に通報される。ここから役人がやってきて現場検証をする。そこでキラキラ光るオイル跡が見つかったら、証拠写真を取られて書類送検されてしまう。数週間後、目が点になるかなり高額の罰金をいただく事になる。逆に路上でワックスをふき取るのは"trocken Waschen"と言い問題ない。中にはそれでも、「Ordnungsamtに通報するぞ。」と怒って文句をつけてくるドイツ人が居るが、そんなときは「これは"trocken Waschen"なので合法です。」と教えてあげよう。

ドイツで車を洗えるのは、洗車に使った水を集めて、これをろ過する装置がついている場所に限られる。日本の洗車場のように、自分で洗剤とバケツと持ってきて洗う洗車場もあるが、あまり人気がない。ドイツで車を洗うには、"Autowaschanlage"と呼ばれる巨大な洗車場に行くのが一般的だ。デユッセルドルフのNRW州では"Mr.Wash"が一番。ガソリンスタンドにあるようなプラスチックのブラシではなく、やわらかい布を使って汚れを落としてくれるので、塗装に傷が付かない。さらにこの布の動き方が絶妙に調整されてり、汚れが見事に落ちている。車に合わせてホイール用のブラシの高さを調整して洗ってくれるので、ホイールもピッカピカになる。日本の洗車場のような洗い残しがない。さらならる優れものは、水滴を飛ばしてくれる強烈な風。日本の洗車場でも風がでるが、その比ではない。乾燥に近い状態まで水滴を飛ばしてくれる。唯一の難点は郊外に店がある事。遠出するのが面倒なので近くにある洗車場も試してみると、しっかりとボデイーの横に洗い残しが残っており、やはり洗い方が微妙に違う。

肝心の費用だが、10年前はたったの2ユーロ。今では6ユーロ。ワックスメニューなどもあるが、濡れた車にワックスをかけても意味がないので、一番安いメニューで十分だ。冬場になって雪が積もり始めると、ドイツの道路には塩が撒かれる。これは車の錆びの原因になるので、雪道を走行したら翌週には車の洗車に行き、"Bodenwaesche"(車の底洗い。)メニューを選ぼう。費用は10ユーロ。洗車場の入り口に集金のお兄さんがいるので、希望のメニューを言ってお金を払うと、バーコードの印刷された紙切れをダッシュボードに置いてくれる。後でメニュー係りのお兄さんが、スキャンしてくれるので、洗車が始まるまでそこに置いておこう。日本の洗車場では車は動かず、洗車機が動くがドイツは逆。お兄さんの誘導でハンドルを操作して車(タイヤ)をレールに乗せると、「はい、エンジン切って。」という手草をしてくれるので、ギヤをニュートラルに入れてエンジンを切ろう。すると車が前に動きながら車が洗われていく。何度体験しても飽きない。シャンプーが終わると、ものすごい風圧で水しぶきが飛ばされる。これも終了したら出口のランプが点滅するので、(あせらないでゆっくりと)エンジンをかけて洗車場から出る。

洗車場には掃除機(2ユーロ)が備えられおり、ここで車に掃除機をかけることができる。まずは洗車が終わると、この掃除機スペースに入って、車をチェックしよう。日本の洗車場とは違う(値段も違うが)、ドイツ製の素晴らしい洗車機の洗車具合に歓心する。ソフト(人間)では日本には及ばないが、機械を作らせたら日本人はドイツ人には適わない。発想が違うのだ。是非、日本にもドイツのような洗車場が欲しい。さて洗車場は水道水を使っているので、そのまま放っておくとドイツの水道に大量に含まれているカルキの白い後がしっかり残る。社用車ならどうでもいいが、愛車の場合はまずはドアをすべて全開、ドアの隙間に貯まっている水を落として、屋根やボデイーにわずかに残っている水滴をふき取ってやろう。ついでにボンネットを開けて、ボンネットの横に詰まっている落ち葉なども取り除いてやろう。ここは排水溝なので、ここに枯葉が貯まるのはよろしくない。ついでに車間距離を測る箇所をフキフキして、高速を走って潰れた虫などがついていたら、取り除いてたろう。ここが汚れていると、エラーの原因になる。

郊外にある大きなMr.Washでは、ガソリンスタンドも兼ねている場所もある。ここでオイル交換もできてしまう。日本と違ってドイツではオイル交換は9000~1万4千キロか、1年半で十分だ。日本のオイル交換はオイル業界の圧力で必要もないのに、頻繁に換える様にメーカーが指定している。その同じ日本車がドイツに来ると、いきなり9000~1万4千キロか1年半でいいのだからから、全くおかしな話だ。ドイツで日本のように、「4000kmでオイル交換してください。」なってやった日には、車が売れない。「他の車は1万Km要らないのに、どうしてこの車は頻繁に交換が必要なんだ。金儲けが目的だろ。」と言われて人気をなくす。だから日本では4000~5000Kmで必要な車のオイル交換が、ドイツでは3倍に伸びてしまう。中にはそのオイル交換も、「オイル業界の偽情報だ!」と主張、自身でオイル洗浄機を考案、一度もオイルを変えないで10万キロ走行しているドイツ人も居る。市バスなどはこの発明家の考案したオイル洗浄を行い、毎年のオイルの交換費用で失われる数万ユーロを節約、「お金が節約できて、環境も汚染されないでいい事ずくめ。」とうれしい悲鳴を上げている。「言われたから。」というだけで思考を終わらせず、発明精神を発揮して自分で機械を考案するのがいかにもドイツ人らしい。


実に良く出来たドイツの洗車機
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COMMENT 2

通りすがり  2016, 02. 03 [Wed] 22:56

No title

あの実は栃の実ですよ。栗は片面が平たいけど、栃の実は両方膨らんでいるし、からも全然違います。日本ではあく抜きしたりして、栃の実を食べる地方もあるようです。

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ドイツの達人  2016, 02. 18 [Thu] 02:42

Re: No title

> あの実は栃の実ですよ。栗は片面が平たいけど、栃の実は両方膨らんでいるし、からも全然違います。日本ではあく抜きしたりして、栃の実を食べる地方もあるようです。


お~!
パチパチ。

ドイツでは全部、"Kastanien"(栗)で、食べれる栗は、"Esskastanien"(食べれる栗)って言うんですよ。

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