Schufa査定を是正せよ! (28.04.2013)

「(請求書を払わないでも)日本に帰ってしまえば、大丈夫ですよね。」とある日本人。1年ほどのドイツ滞在中、携帯電話やインターネットなど、あちこちで契約。そして帰国にあたり、そう都合よく解約できない事を発見。「解約金を払うよりも、そのまま日本に帰ってしまえ!」という理論なのである。電話会社でも、何処に住んでいるのかわからない外国人、ましてや日本まで請求書を送ってくる事はまずない。ご丁寧にアパートの契約先に、「日本での連絡先」を残していなければ。だからと言って請求額がチャラになるものではない。高校生ならともかく、ちゃんと社会人として自分の名前で契約したのに、その責任も取れないというのでは、その人の人格、信用性が大いに疑われる。ましてやこの時の「置き土産」は、後で時限爆弾となって帰ってくる事がある。

比較的支払いモラルのある日本人でこの様だから、ドイツ人はもっと凄い。知人のドイツ人、管理会社に雇われて、アパートの階段の掃除、設備の修理などをしていたが、ローンで高価なシステムキッチンを注文した。すでに出来上がっているものではなく、自分のアパートのキッチンのサイズに合わせてのオーダーメイドである。一体、一人住まいのドイツ人、滅多に料理をしないのに、そんなキッチンを買う必要があったのか。全自動のコーヒーメーカーのように知人、友人に見栄を張る為に購入したとしか思えない。これ、高価な買い物をしても、支払いは後、に気を良くして居間を映画館に改造して、高価なサウンドシステムを(ローンで)買い入れた。それだけでは済まず、愛車までローンで購入する始末。借金は膨らむ一方で1500ユーロくらいの収入しかないのに、7万ユーロを超える借金の山を蓄積した。幾ら仕事をしてもローンの支払いでもっていかれるので、仕事をするのが馬鹿らしくなった。病欠を繰り返した挙句、次第に出勤もしなくなり、最後には就職先を首になった。そのドイツ人が言うには、「俺に金を貸した銀行が悪い。だから金は返さない。」という、いかにもドイツ的な理論なのである。

「そんな極端な。」と日本人なら思われるだろうが、ドイツではこれが結構、当たり前。アパートを借りると、最初の家賃を払ったきり、以後、家賃を払わないで1年以上も平気で暮らしている。「どうして家賃を払わないんだ。」という大家の催促には、「他に優先する出費がある。」と堂々と言う。当然賃貸契約を解約されるが、そのくらいで簡単に出て行くような輩ではない。大家は裁判所に強制取立てを依頼(数千ユーロかかる。)、その執行人と錠前屋と共に自分のアパートにやってきて、やっとこのボヘミアンを追い出すことができる。インターネットで品物を注文しても支払いは後回し。冒頭の日本人が聖人に思えてくるような様である。"Statistische Bundesamt"という統計を取っている国の機関があるが、その統計によるとドイツ人(言うまでもなく成人)の42%が"Ueberschuludung"借金苦にあるという。ドイツ人の支払いモラルを象徴する数字である。

ドイツでは例え友人であろうとも、又、わずか数百ユーロでも金を貸すべきではない。帰ってくることはない。運よく金が戻ってくると、「申し訳ないが、又、金を貸してくれないか。」と先回の倍、要求される。「そんな大きな金は貸したくない。」と言えば、「先回、ちゃんと返したじゃないか。俺を信用しろ。」と言ってくる。実はこれ、よくある手口である。小銭を借りてこれを返却、信用を得てから大きな金を借りると、とんずらするのである。当然、見知らぬ人間と契約を結ぶのは大きなリスクがある。アパートを貸しても家賃が入って来るかどうか、それは運次第。では、たっまものではない。そこでドイツでは大家などが契約を結ぶ前に、「"Schufa-Auskunft"をもらってこい。」と言われることが多くなった。しかし日本人の場合、「"Schufa"って何なの?」というケースがほとんどだろう。そこでここではこのおかしな名前の機関について紹介してみよう。

まずは名前から。ドイツでよくあるように、この名前は組織の名前の「頭文字」を取ったもので、"Schutzgemeinschaft fuer allgemeine Kreditsicherung"という。日本語に直せば、貸し主保護団体。その役目はドイツに住む人間や企業の査定を行い、この査定を家主、あるいは銀行などの貸し主に販売する事で利益を得ている。早い話が国や企業を査定するMoody’sや、Standard & Poor’sの国内版である。ユーロ危機によりこうした査定会社の役割が注目されているように、借金を抱える国民が多いドイツでは、かってのローマ教皇にも似た絶対権力を持っている。

まずはその査定方法から見てみよう。ドイツで生活をするとお買い物をして、その代金を払うことになる。家賃の支払いは言うに及ばず、電話代金、電気代、インターネット代、ネットでの注文と、その機会は幾らでもある。その支払いの具合で、査定が決まる。冒頭の日本人のように請求書を支払わないと、ここに登録される。その後、この人物が日本で就職して、ドイツに派遣されたとしよう。まずは住む場所が必要になる。大家から、「"Schufa-Auskunft"をもらってこい。」と言われて、"Schufa"に問い合わせるとこの会社が作成した査定に「信用なし。」と書かれているのである。「なんでやねん。」と問い合わせると、「あなたに対して複数の債務者からの数千ユーロの請求が記録されています。」と言われる。そう、かってはたかが数百ユーロの請求だったのに、これを支払わないので、利子と弁護士費用が加算されて、大きく成長したのである。これだけの請求額が残っていると査定はかなり悪く、電力会社、電話会社、インターネット会社との契約、そして銀行口座の開設までも断られてしまう。そんな人物がドイツで生活はおろか、仕事ができる筈はなく、社内で「不適人物」と査定されドイツ駐在生活はあっけなく終わることになる。

そんな目に遭うと、「査定を是正して欲しい。」と、査定会社に交渉を試みるに違いない。しかし査定会社の資産は、金を払って収集したこの情報である。「査定を是正してください。」と言われて、「はい。是正しますた。」とやるのでは苦労して集めたデータが無駄になる上、査定会社の信用を失うことになる。だから査定会社がその査定を個人の要求で変更することはない。例外は、残っている借金を返済すること。借金を全額返済すると、マイナスの記録は消える。ただし3年後に。ここで査定されると一生物である。ドイツで生活するなら(ドイツに限った事ではないだろうが)、社会人としての義務は果たすべきである。もっとも、「ドイツなんて、二度と来ないよ。」という場合は別であるが。

問題は、インターネット上などで詐欺に遭った場合。実際にあった某日本人のケースを挙げてみよう。目的地までのルートを検索する目的で、"routenplaner"と入れてぐぐってみた。検索結果をクリック、データを記入すると、「あなたの住所、氏名を記入してください。」と要求される。深く考えないで、「仲の悪い同僚の名前を入れちゃえ!」と他人の名前を借用して記入、ルートを検索した。数日後、「あなたは1年のアボ(アボネモン/契約)に同意しました。」と書かれた手紙が届く。手紙には1年の会費、119ユーロの請求書も同封されている。「架空の名前を使ったのに、どうしてわかったんでしょうか。」と不思議そうな日本人。誰が本当に申し込んだが、そんな事はIPアドレスですぐにわかってしまう。名前や住所などを変えても"Widerstand ist zwecklos"(無駄な抵抗)である。

「どうしたらいいんでしょうか。」とオロオロしていると、「そんな根拠のない要求は無視すればよろしい。」というアドバイスを受ける。本人は親切心でアドバイスしているのであろうが、大きな間違いである。そのような手紙が届くとまずは"Einschreiben mit Rueckschein"で契約を解約するのが第一である。契約を解約しないと、これが正規の契約になるばかりか、自動的に更新されて、2年、3年と自動更新されていくからだ。支払い要求を無視していると、弁護士費用が加算されて、数千ユーロの要求になる。そうなると、これは"Schufa"に登録されて、何も悪いことはしていないのに、マイナスの査定になる。幸い、このようなケースでは、"Schufa"は査定の是正をしてくれるが、まずはこの要求が不正なものであった事を弁護士、必要とあれば裁判結果で証明しなくてはならない。これには数千ユーロ必要になるので、おかしな請求書が届いたらこれを無視しないで、近くにある消費者センターで相談しよう。

"Schufa"の査定方法は、何も請求書の支払いばかりではない。これまで全部請求書を期限通り払っているのに、あまりよくないスコア(査定)を受けることがある。というのも支払い関係で「ボロ」がでない国民の場合、"Schufa"は住んでいる住所や職業で査定を下す。外国人の多い家賃の安い地域に住んでいれば、スコアは低くなり、高級住宅地に住んでいれば、スコアは高くなるというわけである。一般に公務員、雇用者はスコアが高く、被雇用者、その中でもパートなどはスコアが低い。ちょくちょくトラブルになるのは、名前が似ていたりして、他人の悪いスコアが間違って与えられるケース。銀行に融資の相談に行くも、何処の銀行でもこれを断られてしまう。「何かがおかしい。」と"Schufa-Auskunft"をもらって見れば、そこには見に覚えのない借金が記録されていることもある。これを是正するのは大変。査定会社は記録を信用して、悪い査定の人間の言い分を信用しないからだ。

皆まで言えば、この"Schufa-Auskunft"はここからオンラインで請求する事ができる。勿論、有料で18ユーロ50セント。一見すると自分のスコアを見るのも有料のようだが、政府が定めた法令、"Bundesdatenschutzgesetz"を引用すれば、国民は年一回は自身のスコアを無料で要求することができる。ただし、「あなたのスコアを無料で要求しよう!」なんてホームページに書いてしまうと、お金にならない要請が殺到するので、ホームページには書かれていない。「払っていない請求書が幾つかある。」という人は、一度、査定を要求してみてはどうだろう。


ドイツで絶大な権力を誇る査定会社。
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-  2013, 08. 30 [Fri] 05:02

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ドイツの達人  2014, 01. 29 [Wed] 12:51

Re: 無料でもSchufa情報?

> とても参考になる記事をありがとうございます。
>
> 私もこれから試そうと思うのですが、以下のサイトによると、無料でもある程度の情報が得られるようです。
> http://kostenlose-schufa-auskunft.de/


こんにちわ。

ドイツには、
「無料でお試し!」
と書くことにより、個人情報を入手したり、見えない箇所に、「このサービスは有料です。毎月59.90ユーロ。最短申し込み期間、6ヶ月。」と書くことにより、荒稼ぎしてるサイトもあります。

よくあるのは、"Routenplaner"(道順検索)なのですが、このサイトのその手のひとつです。


"kostenlos"(無料)と書いているのが、いかにも怪しいです。

冷静になって考えてみましょう。
お金をかけてホームページを作り、ドメインを取得、これを無料で運営して、何の得があるんでしょう?

それは無料を見せかけて、何も知らない人を誘い込み、最低でも個人情報を取得して、これを売却するのが目的です。

このようなサイトが多いので、お気をつけください。

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