Garantie(保障) と Gewaeherleistung(機能保障)

ドイツ語には「保障」という日本語に相当するドイツ語が2つある。"Garantie"と"Gewaehrleistung"の2つである。日本語の保障に相当するのは、どちらかと言えば前者で、後者は機能保障という意味になる。と言っても、何の事やらさっぱりわからないに違いない。ドイツ語に何不自由ないドイツ人でも、この違いを理解していない人が大方。これ(曖昧な認識。)が原因で、インターネット上、あるいはドイツに滞在している日本人の間で、いろんな伝説が語られています。この謎を解くべく、今回はこのテーマをここで取り上げておきます。

わかり安く言えば、前者は小売業者の自発的なサービス。後者は製品が障害なくちゃんと機能する事を小売業者に(Buergerliches Gesetzbuch)法令で義務づけたもの。その期間は購入日から2年間。すなわち日本語で言う保障は、ドイツでは小売店の自発的なサービスであるから、店によってはこれを提供していない事もある。その一方で機能保障は法令であるから、小売業者は販売した製品がちゃんと機能する事を保障する義務がある。と聞けば、"Gewaehrleistung"、すなわち機能保障の方が効き目があるように思えるが、実際は逆である。

まず小売業者は「消費者と同意の上」、この期間を1年に限定する事ができる。問題は、「消費者と同意の上」の部分である。小売業者が購入の前に、「この製品の機能保障期間は法令で定められた2年ではなく、1年です。それでもいいですか。」と聞いてくることはなく、品物を購入すると欧州の言語20ヶ国語で書かれている保証書にルーペがなければ読めないような小さな字で書かれている。私自身、これを読む努力をしたことはないから、皆さんも同じような按配ではなかろうか。つまり正確な機能保障期間は商品を購入してから初めてわかるもので、果たして購入した商品の機能保障期間がどうなっているか、実際に知っている人は滅多にいない。

さらにこの機能保障は消耗品(家電製品を含む)の場合、「事実上」、6ヶ月まで短縮される。問題は、この「事実上」の部分だ。1000ユーロを超える大型のテレビを購入、5ヶ月と30日後にテレビが故障して音声がでなくなった場合、小売業者はこれを修理する義務を負う。しかし消費者がクレームを怠り、6ヶ月と1日後に不具合を報告すると、消費者はテレビを購入した時点でテレビに不具合があり、これが原因で故障して事を証明しなくてはならない。これは事実上不可能なので、自費で修理を依頼することになる。つまり機能保障期間が2年あっても宝の持ち腐れ、実際には購入美から6ヶ月しかカバーされない代物である。

こうした背景があって、保障"Garantie"が登場してくる。この保障期間中に製品が故障した場合、消費者は購入時に製品に不具合があった事を証明する必要はない。通常の使用環境で故障した場合は、小売業者が無償で修理をしてくれる(例外は"Verschlußteile"と呼ばれる消耗部品)。だから家電製品などを購入する場合、保障"Garantie"期間を問い合わせてから、購入しよう。保証は自発的なサービスなので、その期間は小売業者が自由に設定できる。もし保障期間が6ヶ月なら、上述の機能保障と同じなので意味がない。最低は1年、できれば2年間の保障期間が理想的 。

これに関する面白いエピソードがある。宣伝業界で働く知人が、2000ユーロもする高価なIMacを数台購入した。1年後、内臓されているDVDプレーヤーが壊れた。これを購入したデユッセルドルフのアップルショップに相談に行くと、「1年を過ぎているので、有償修理になります。コンピューターを持ってきてください。」と言われた。本人はアップル社の携帯電話、タブレットなど、仕事の備品をすべてアップル社の製品で揃えているアップルの信奉者である。「アップルなら、保障期間を数週間過ぎていていても大目に見てくれるだろう。」高をくくっていただけに、本人は衝撃を受けた様子だった。「今後、DVDプレーヤーが壊れる度に、わざわざこれを抱えて修理に持っていく事になる。」と少なからず傷つけられた様子だった。


運よく保障、あるいは機能保障の期間中に製品が故障したとしよう。日本では、「他の(同じ)製品と交換してください。」と要求できるかもしれないが、ドイツでは小売業者が、修理をするか、それとも代用品を提供するか決めることになる。消費者に、「他の製品と取り替えてください。」、あるいは、「お金を返してください。」と要求する権利はない。もっとも一度故障した商品は、修理してもなかなか直ることがないが、消費者は小売業者に2度、"Nachbesserung"(修繕、修理)の機会を与えなくてはならない。二度の修理後も故障/不具合が直っていない場合、消費者は契約から辞退するか、それとも他の(同じ)製品に変えてもらうか、あるいは値引きしてもらって、壊れた製品をそのまま使用するか決定する事ができる。小売業者は、「商品券をあげますから。」と誤魔化してくることが多いが、消費者はこれを受け入れる義務はない。

ドイツのスーパーでは、コンピューターや家電製品がよく安価に販売されている。これが機能保障、あるいは保障期間中に壊れた場合にその修理の義務を負うのは、上述の通り、小売店、すなわちスーパーである。ただしスーパーは、「製造元に言ってくれ。」と責任を回避する事間違いなし。通常は、製造元がスーパーのレシートを提示する事で修理を引き受けてくれる。ただし修理の義務は小売店にあるので、製造元が「それは購入されたお店に依頼してください。」と言っても、これを恨む理由はあっても訴える理由にはならない。恨むのは小売店であって、製造元ではない。スーパーで家電製品を購入される際は、「これ安い!」と値段だけ見て購入しないで、保障は付いているのかどうか、保障期間中の修理は何処に依頼するのか、確認してから購入しよう。明確な回答が得られない場合は、トラブルになる確率が高いので、購買は控えたほうがいいかもしれない。

これにて保障と機能保障の謎は概ね解決した筈。それでも「こんなケースではどうなんでしょう。」とお悩みの方、こちらの掲示板(会員専用)にて、お尋ねください。


大手の家電販売店では、保守期間の延長を提供しています。ただし家電製品の17~18%が延長料金。
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