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安い電気を探せ! (19.10.2012)

ドイツでの生活を高くしている原因のひとつは、高い電気代にある。手元に残っていたファイルを開いて見ると、2004年は電気代が15.95セント/kwだった(これに基本料金の60ユーロ/年が加算される)。2012年には、23.06セント(基本料金87ユーロ)になっているので、8年間で50%も上昇している。ドイツに在住される方から、「ドイツでは何故、電気代がこんなに高いの?」という質問を何度聞いたことだろう。最大の理由は、ドイツの電気市場が4つの電力会社により「分割統治」されていること。競争がないので、高値安定になっている。「日本でも名古屋だと中部電力だけど、そんなに高くないです。」と指摘をされる方はお見事。これに決定的な第二の理由が加わる。

ドイツでは(おそらく日本と同様に)電力会社は、政治家の退職後の就職先になっている。例えば「原発反対!」と唱えていた緑の党の(元)党首、(元)外務大臣のフィッシャー氏は、退職後、綺麗な(若い)奥さんと再婚後、電力(原発)会社の顧問になって、のうのうと高級をいだだいている。良心のかけらでも残っていれば、矛盾を感じただろうが、そこは合理的なドイツ人。頬を赤くすることもなく、平気で電力会社のためにロビー活動を行っている。閣僚、大臣経験者を「吐いて捨てる」程抱えている電力会社は、毎年、電気代の値上げを申請、コネが効いて、毎年、これが許可されている。それどころか、最近では値上げの申請をあげる必要がないように法律が変更され、電気代は電力会社の思うがままになっている。

まだ記憶に新しいが、2008年は原油価格の高騰で生活費が爆発的に上昇、ガソリンは1リットル1.55ユーロもした(ちなみに2012年はなんと1.70ユーロを突破、過去最高を更新中!)。当然、電気代も上昇して1年の間に3回も値上げが実行された。その後、原油価格は(一時)暴落したのだが、電気代は高値のままだった。ところがここ数年、高値安定していた電気代に動きが出てきた。

数年前、欧州の電気市場は自由化された。これにより(例えば)オランダの電気会社が、ドイツの消費者に電気を売る(送電する)事が可能になった。もっともドイツの市場を独占している4つの電力会社が、何も抵抗をしないでモノポールを諦める筈がなかった。電力会社は外国からの電気に対して法外な送電料を要求した。その結果、折角、安い電力会社と契約しても、結局は同じ電気代う払うことになり、電気市場の自由化は名目だけで終わったかのように思えた。ところがここでEUの寡占監視委員会が動き出した。委員会は「ドイツの電力会社は寡占状態を悪用している。」と結論、電力会社に送電線を売却するように命令した。勿論、電力会社はこれに抵抗、ロビイストを使ってこの法令を例外だらけの法律に変更させようと頑張った。ところが寡占委員会は魅力的な退職後の仕事のオファーを蹴った。こうしてドイツの電力会社は歯軋りしながらも送電線を売却、送電線を営業する会社が新しく数社も誕生することになった。

このお陰で、送電料が下がり始めた。送電料金が下がり始めると、電力会社を変えるとお金が節約できるようになった。これまでは市の電力会社、例えばデユッセルドルフならStatdwerk Duesseldorfに契約しているのが当たり前だったが、オランダの電力会社に変えると1年で電気代が50ユーロ節約できる上、1年間この会社との契約を遵守すると50ユーロのボーナスが出て、1年で100ユーロも節約できた。電気代金の度重なる値上げも手伝って、電力会社の変更は一気にブームになった。ブームになるといかがわしい「電力会社」もまるで竹の子のように、あちこちに出現した。

電力会社というと、ガスや石炭を使って発電しているでかい会社を勝手に想像してしまう人がほとんどだろう。大半は、オフィスだけの小さな会社である。ライプチッヒの電力市場で電気を買うと、これを消費者に販売する電気の仲買業者でしかない。こうした「電力会社」は安い値段が唯一の武器。文字通り「薄利多売」で、かろうじて利益が出ているが、些細な事、例えば急な原油価格の高騰で電気の値段が上がると、わずかばかりの儲けがなくなり、大赤字になる。こうした電力会社は2年、永く持っても3年で消えていくが、よくしたことに、電気代は「1年間、先払い」になっているので、先払いで払ったお金は一セントも戻ってこない。そればかりか、市の電力会社から電気代の請求書意が届くことになる。

具体的な例を見てみよう。ホームページで「ここは危ない」と警告していた電力会社、Teldafaxが倒産した。2009年の時点で会社の経営が傾いたのに、顧客を募集し続け、新しい客が何も知らないで前払いしたお金で、これまで未払いになっている請求書を払っている始末だった。2011年には未払いの請求書に我慢できなくなった電力会社がこの電気会社への送電を止めた為、あっけなく倒産した。被害にあった顧客数は7万5千人。この顧客の元には、Teldafaxに電気代を払ってもらえなかった電力会社からの請求書が届き、そこには「未納分の1年分の電気代を払ってください。」と書かれていた。結果、「この会社は電気代が安い!」と安さに釣られてこの会社と契約した客は、2回(2年分)も電気代金を支払うことになった。
          
そんな目に遭わないように、電力会社を変える場合、以下の点に注意しよう。まず値段の比較で一番上に出ている会社は、値段の比較をしている会社へのコミッションが一番大きい会社だ。この会社へ払われるコミッションは、電気代に上乗せされるので、一番上に出てくる会社には要注意。隠れた落とし穴がある。大事なのは、電気代の支払いが毎月払いになっていること。間違っても、値段の安い1年間前払いで契約しないように。理由は上で述べた通りだ。そして電気代金が最低でも1年保障になっていること。これがないと、「安い」電気代は、半年後には高い電気料金に変わってしまう。又、大手の電力会社、Eon, RWE, EnBw, Vattenfallなどもホームページで顧客の募集をしているので、チェックしておこう。大手の電力会社は潰れることがないので、1セント/Kw程度の差なら、小さな無名の会社よりも大手の会社を優先すると安全だ。

「電気代が安くならないかな?」と淡い期待をしている方には気の毒だが、2013年から電気代が、(最低)2,8セント/Kw上昇する。原因は、"Erneuerbare-Energien-Gesetz"だ。この法律は、電気の使用量の多い会社、わりやすい例を挙げると製鉄製銅業など、に補助金を出して、原発廃止による電気代上昇による会社の経済負担を軽減、安い電気で製造している外国企業との格差をなくす目的で導入された。その補助金の財源は、市民が支払う電気代に上乗せして徴収することにした。これまではこの上乗せ額が3.6セント/Kwだった。ところがゴルフ場、空港、デパートなど、ありとあらゆる業種がこの補助金を申請、ドイツ政府はすべて認可してしまったので、補助金額が爆発した。この上昇した補助金の財源を確保する為、上乗せ額は来年から5.3セント/Kwになる。同時に高値安定している原油高も手伝って、2013年からの値上げ幅は3セント/Kw程度になる。一人住まいなら年間で30ユーロ程度余計に電気代がかかることになる。

そろそろ契約している電力会社から、「電気料金改定のお知らせ」の手紙が届く頃だ。「ドイツ語の手紙は読めない。」とゴミ箱に捨てないで、辞書を使ってしっかり読んでみよう。どこかに「新料金」が書かれている筈だ。過去の手紙を保管していない人は、値段の比較ができないで、どう対応していいいのかわからない。ちゃんと過去の手紙を保管している人は、値段の比較をしてみよう。もし電気代が値上げになっていれば、これを理由に消費者は電力会社との契約を解約する事ができるので、この機会に安い電気を探してみてはどうだろうか。


電源スイッチ付きの蛸足。
就寝前に電源を切ると、年間20~30ユーロ節約できます。

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