Zoll (01.02.2009)

警察や関税局(Zoll)の取締りの光景を放映するテレビ番組は、ドイツ人の気質にも合って大人気。取材費もたいしてかからず、いい視聴率が稼げるのでほとんどのテレビ局がこうした番組をかかえている。その中でとりわけ面白いのがZollの取り締まり。ドイツでは不法就労をする外国人が多いので、関税局は空港だけでなく、市内のあやゆるところで活躍している。不法就労の一番多いのは建築現場だが、建築現場は広いので、手入れをする際は総出で建築現場を包囲する。その後、防弾チョッキを着た職員が一人一人しらみつぶしに調査をしていく。時々、脱兎のごとく逃走を試みる不法就労者が居て、緊張感は一気に高まるが、建築現場を包囲している職員に捕まって、めでたし、めでたし。(*)逆にあまりめでたくないのは、空港での取り締まり。空港の関税局職員は、「申告するものなし。」のグリーンの出口を抜けていく数百人の旅人の中から「勘」を頼りに、怪しげなドイツ人、外国人を選定して調査するのだが、かなりの高確率で密輸品が出てくる。職員がどういう基準で怪しい人物を見極めているのか、興味の尽きないところだが、「仕事上の経験と勘」という言葉で誤魔化している。

密輸はドイツの空の玄関口フランクフルト空港が一番多いので、規制も厳しい。多くの日本人が到着するのはフランクフルト空港であるから、密輸で捕まる日本人も少なくない。アジア(日本)では、外国で安く買った品物(お土産)を堂々と密輸できる傾向があるので、多くのアジア(日本)人は、これが密輸だと自覚してないケースが多いが、ドイツ人相手ではそういう「慣習」は全く通じない。2~3年前に日本で買った品物であろうとも、EU内で購入したものでない買い限り、輸入税を支払う義務がある。これを申告しないで通関を抜けようとして呼び止められ、「密輸」がばれた場合、中古であれば「知らなかった。」と言えば、関税を払って済まされるケースが多い。そう簡単にはいかないのが、旅行先(EU外)で購入した品物(新品)を、申告しないで持ち込もうとして捕まった場合。このケースでは関税だけでなく、罰金も科せられる。例えば日本で買ったiPhoneを密輸して捕まったとしよう。iPhoneは安い機種でも600ユーロ程度。幸い、携帯電話には関税がかからないので、購入額(推測)の19%、114ユーロが輸入税になる。罰金は輸入税と同額なので、さらに114ユーロ、合計228ユーロも聴取されてしまう。さらに運がいいとテレビ局が新しい番組を撮影しているで、無料で全国出演ができてしまう。

著者が見ていた番組では、毛皮のコートに包まれて空港に降り立った(お金持ちそうな)日本人女性が見事に全国出演を果たした。関税局の職員は経験を積んでいるので、こうしたお金持ち風、駐在員の体裁の日本人を調査すれば「何かが出てくる。」ことをよく知っている。だからこの女性が「申告する物はなし。」で通関しようとすると、呼び止められていた。この女性はRolexの時計をしていたが、著者には見えない素早い動きで、腕時計を腕の上にずりあげた。これに気づかない振りをした関税局の職員が、「何か申告する物をお持ちですか。」と尋ねると、「いいえ。」と応える日本人女性。これで見事に罠にはまった。「ではその腕にはめている時計を見せてください。」という職員。「えっつ?どの時計ですか。」と、時計をはめていない手首を見せてとぼける女性。すると声の調子が一気に厳しくなり「その腕の上にずりあげている時計のことです。とぼけるのはやめなさい。」と一言。観念した女性はロレックスの時計を提示する羽目に。もし、「はい。」と応えるか、時計を隠さないで堂々とはめていたら関税だけで済んだのに、時計を隠した上、虚偽の申請をした為に「密輸」の現行犯で捕まり、「別室」に連行されていった。

これまでは商品価値がわずか175ユーロまでの場合、関税なしでドイツに持込できた(Freimengen)が、2009年からドイツは他のEU国に倣って430ユーロに引き上げられた。ただしこれは飛行機で品物を持ち込む場合。日本からドイツまで電車で来る人は居ないだろうが、例えば車や電車でEU外のスイスから品物を持ち込む場合は300ユーロまで。又、家族5人なら合計1500ユーロまで関税なしという都合のいい計算はできない。15歳未満の子供は175ユーロまでしか関税が免除されない。そうそう、過去、日本から食料品などのCare Packを送ってもらったものの、通関で止められて関税を支払う羽目になり悔し思いをしていた方も多いと思う。個人輸入の場合、22ユーロまで関税なしで輸入が可能である。「22ユーロ未満ならいいんだ!」と、日本にコンピューターを注文、「これは22ユーロです。」と言っても、そんな子供のような手段は税関には通じませんので、ご注意あれ。
          
「ドイツでジーンズを買うと、ヒップの部分がタブタブ。」とインターネットで日本にジーンズを注文したとしよう。ジーンズが30ユーロの価値だった場合、まずは12%の関税がかかる。ここで33.6ユーロ。この額に郵送料の2000円(1Kg未満)、20ユーロが加わり、53.6ユーロ。これに19%の輸入税がかかり、最終額は63.78ユーロ。30ユーロ程度のジーンズでも、文字通り倍の費用がかかる事になる。これを回避するには、品書きに「Geschenke」(贈り物)と両親に書いてもらって、一回、自宅で洗濯してから送ってもらうといい。個人的な贈り物には45ユーロまで輸入税が免除されるからだ。ただし、発送人や箱に"Amazon"と書かれていたら、贈り物ではないのは一目瞭然。だから両親に中身をみかん箱にでも入れ替えてもらい、さらに新品である事を誤魔化すため、値段表を取り、洗濯してから送れば、贈り物と見なされる可能性が高い。中には、品書きに「Geschenke」、価格に「これは43ユーロです。」と書き、日本からコンピューターを送ってもらった人がいた。勿論、関税で止められて、輸入税の支払いを求まれたが、「これは贈り物です。」と諦めずに頑張った。関税局の役人は笑いながら、"Ein netter Versuch."と言い、全く真面目に取ってもらえなかった。

最後にお問い合わせの多い、留学時のノートブックの持ち込みについて。ドイツ(あるいはEU内)で住民登録をしていない限り、「旅行者」なので、関税を支払う義務はない。難しくなるのは、ドイツに留学中、一時、日本に里帰りする場合だ。この場合、すでにドイツに住民登録をしているので、厳密に言えば、ノートパソコンなど、携帯品には申告の義務が発生する。もっともドイツに住民登録して半年程度であれば、見逃してもらえる事が多い。日本人がどのくらいこの関税に疎いか、日本でもニュースになったのベルギー在住の日本人音楽家の件を見てみればよくわかる。欧州内に在住している者が、欧州外で取得した資産をEU内に持ち込むと、関税の支払い義務が生じる。関税を支払った事が証明できないために、哀れにもこの音楽家は楽器を取り上げられた挙句、19万ユーロの関税の支払いと、申告をしなかった為にさらに同額の罰金を課されてしまった。運のいい事に、「欧州への引越しの際、一緒に持ってきた。」事が証明できたので、関税から開放される事になったが、危うく一財産、失うところだった。この例からわかるように、ドイツの関税は容赦がないので、「鞄に入れてりゃ~わかりゃしない。」と高をくくらない方が身の為だ。

最後にアドバイス。これだけ「密輸」は割に合わないと書いたにもかかわらず、「申告するものなし」のゲートを通過しようとして、呼び止められた場合、職員はもう匂いをかぎつけているので、虚偽の返答はやめておこう。「申告する物はありませんか。」と聞かれると、「いいえ。」と最後の大見栄をはるケースが多いが、実はこれが最後のチャンス。ここでも遅くはないから「はい。」と言えば密輸扱いにはならず、関税の支払いだけで済む(筈だ)。

* 日本からよくいただくメールに「語学学校に通いながらアルバイトできますか。」というものがある。ワーキングホリデービザを取得していれば、答えは可だ。そうでない場合、就労は不可だ。こう書くと「いえ、就労ではなく、アルバイトなんですが。」と言われる方も、、。ドイツではアルバイトも立派な就労で就労許可が要り、税金や社会保障費を払う必要がある。日本では何故かアルバイトは税金がかからない場合が多いが、これは厳密に言えば脱税である。就労して金を稼げば、アルバイトだろうが内職だろうが、税金を払うのが決まり。日本の例外をそのままドイツに持ってきて、「アルバイトだから、、。」などど考えていると、関税局の取り締まりに合って、御用になってしまう。身元が確認できない場合、手錠を嵌められて、留置場に連行されてしまい、とんでもないドイツ留学になる。ドイツ語を学ぶ者に、アルバイトは就労という意味である事を指摘する必要はないだろうが、念のため。


ちょっと待った!
泣く子も黙る、恐ろしいドイツの関税
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COMMENT 4

日本三毛猫  2013, 10. 06 [Sun] 17:23

No title

「「旅行者」なので、関税を支払う義務はない」と書かれていらっしゃいますが、大使館の注意書きなどを読みますと、ドイツ在住者でない、単なる旅行者も注意が必要なようですね。

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ドイツの達人  2013, 10. 06 [Sun] 18:01

Zoll

こんにちわ。

ご指摘の箇所、以下の部分ですよね。

最後にお問い合わせの多い、留学時のノートブックの持ち込みについて。ドイツ(あるいはEU内)で住民登録をしていない限り、「旅行者」なので、関税を支払う義務はない。

すなわち「旅行者が関税を払う義務がない。」というのは、ノートパソコンの持ち込みに限っての事です。

決して、「旅行者」なので、関税を支払う義務はない」と言っているわけではございません。

お読みいただければ、すでにご存知の事とは思いますが、念のため。

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日本三毛猫  2013, 10. 06 [Sun] 22:51

関税

 お返事ありがとうございます。よくわからないので教えていただきたいのですが、「総額430ユーロ以上の物品」は免税範囲を超えていますよね。
 たいていのノートPCは430ユーロ以上だと思うのですが。。。
 それとも、「関税を支払う義務がない」のと「申告の義務がない」を、私、ごっちゃにしているのかしら。

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ドイツの達人  2013, 10. 07 [Mon] 13:20

Zoll

こんにちわ。

元来、こちらのページは弊社のお客様(会員)へ向けたご案内でございます。

昨年からパスワードなどを廃止、一般公開いたしました。

弊社をご利用にて留学される場合、入国に関するお問い合わせは無料ですので、ご相談は直接、メールにてお尋ねください。

弊社をご利用されないで留学される場合、税務署までお問い合わせいただくか(無料)、弊社のサポートサービス(有料)をご利用ください。

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弊社のお客様を優先したいので、こうのような形になってしまいます。
ご了解いただければ幸いです。

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