年末調整 税金編 (27.05.2012)

ドイツに住んでいる方ならすでにご存知の通り、ドイツでは電気や水道の使用量を毎月、図ったりする無駄な事はしない。1年に一度、図るだけ。1年で使用した量を12で割って、来年の月々の料金が決まることになる。差額が出た場合は、年末調整で調整することは、すでに紹介した通り。同じ方法が税金でも採用される。

企業/自営業者の場合、前の年の売り上げ/収入を元に次の年の税金が決まってしまう。そこまでは理解できるのが、理解できないのは、税金を納める時期。ドイツの税務署は、悠長に会社が会計報告をするまで税金の徴収を待ったりしない。待っている間に会社が倒産して、税金を取り逃すことになる危険が高すぎる為だ。これを回避するため、ドイツの企業はその年の税金を前払いさせられる。具体的な例を挙げて見よう。官庁をたらいまわしにされて、必要な書類を獲得、やっと6月に起業にこぎつけたとする。「やっとこれで開業できる。」と思っていると、税務署から「2012年の税金を払われたし。」とお手紙が届くことになる。まだ売り上げもない時点で、それも1年分の税金の前払いを要求される。その額も税務署が徴収したい額を適当に決めているので、決して安くない。

税金を払えない場合、営業許可を取り消されてしまうので、ドイツで起業する人はこの点も計算して、会社の運営予算を用意しておく必要がある。多めに徴収された税金だが、これを取り戻すには2012年の年次会計をして、税務署に会社の売り上げ、儲けを申告する必要がある。税金の返却になる場合、夏が過ぎる頃にやっと返事が来て、実際に支払うべき税金が確定、前払いした税金との差額が払い戻される。「ほっ!」としていると、翌日には2013年の税金の前払い請求が着て、返却される差額は、すぐに税務署に徴収される運命になる。

会社員の場合、会社の経理がお給料に従って税金を計算、社会保障費などと一緒に税金が天引きされて、手取りの給与が振り込まれる。これには税金で落とせる諸費用が含まれていないので、「税金が持ってくる筈だ!」と確信している人は、"Einkommensteuererklaerung"という年末調整を申請する事ができる。名前からして恐ろしく長い名前だが、中身はもっと複雑である。この為、多くの日本人/会社員はこの年末調整を放棄している。ところが、「年末調整は義務ですよ。」とか、「年末調整をしていないと年金が支払われません。」などとドイツ人が言うので不安になってしまう。これは完璧な誤謬である、会社員の場合、年末調整は義務ではない。会社員でも年末調整が義務になるのは、アパート、マンションを所有して別の収入源があったり、貯蓄の利子や株の配当金などを合わせて年間410ユーロを超える収入がある場合である。

話は横にそれるが、ある日本人駐在員が日本の口座に資産を残してドイツで駐在、ちゃんと税金を払っていたが、日本の口座に入ってきた多額の配当金を申請しなかった。日本の税務署がドイツの税務署にチクリ、ドイツの税務署が駐在員の年末調整をチェックすると、この配当金が申告されていなかった。この為、駐在員に税金の追徴支払いと、脱税額と同額の罰金の支払いを要求する恐ろしい手紙が届いた。「真っ青になった日本人が駆け込んできた。」と、税理士が話してくれたが、ちょくちょくある話のようだ。日本とドイツの税務署は仲がいいので、日本に資産を残している場合、この資産による収入も申告が必要だ。税務署から税金の追徴金、及び罰金支払いの恐ろしい手紙が届いてから、「知りませんでした。」という言い訳は通じない。隠すだけの資産があるなら、シンガポールや香港など、ドイツの税務署の要請を無視する国に資産を隠しておこう。
          
何も資産を持っている人だけでなく、その逆の場合でも年末調整をすれば税金が返ってくる場合もある。"Sonderausgabe","Aussergewoehnliche Belastung", "Werbekosten"などという複雑怪奇なドイツ語の名前で、税金免除の対象になる出費がある。例えば医療費。入院、手術などをして多額の出費になった場合、これを申告する事ができる。(請求書がないと、認めてもらえませんので、大事に保管しておきましょう。)その他、会社までの交通費、学校に通った際の授業費、裁判費用、離婚費用、葬式費用など、税金免除の対象になる項目は多い。果たしてどの出費が税金免除の対象になるか、これは職種にもよるので、税理士のような専門家でないと確実なことはわからない。出費が多くて、「申告したら、お金が戻ってくるからしん?」という人は、"Lohnsteuerhilfeverein"に相談してみるといい。親切なアドバイザーに当たれば、申請する価値があるかどうか、無料でアドバイスしてくれる。(その後の申請は勿論、有料です。)
          
尚、初めてドイツで就職した方は、年末申請をする価値がある。冒頭で述べた通り、ドイツの税率は12ヶ月働いた収入を元に計算されている。年次の途中から仕事を始めると、大目に税金を払っているので、間違いなく税金が戻ってくる。さらに3~4ヶ月しか就労してない場合で、「年収」8004ユーロ未満の場合、納税義務から開放されるので、払った税金は全部戻ってくる。


ドイツ人でも理解できないドイツ語で書かれている"Einkommensteuererklaerung"
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COMMENT 3

-  2013, 04. 25 [Thu] 00:32

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ドイツの達人  2013, 04. 25 [Thu] 01:18

Re: No title

> 日独租税協定(第23条)によると利子や配当金に対して日本で納付される租税はドイツの租税から控除されるとのことなので、すでに源泉課税されている配当金等はドイツで申告する必要はないと思ったのですが。。


こんにちわ。
同法規23条に、

もっとも、連邦共和国は、税率の決定に当たって、このように除外された所得又は財産を考慮に入れる権利を保留する。


と書かれています。
さらに、

第1文の規定は、配当から生ずる所得については、日本国の居住者である株式会社でその議決権のある株式の少なくとも25パーセントを連邦共和国の居住者である資本会社が所有しているものから当該資本会社に支払われる配当についてのみ適用する。

とあります。

ちなみに、ドイツを半年以上留守にしていると、ドイツでの納税義務から解放されます。だからと言って、「ドイツで税金を納めなくていい!」というものではなくて、他国で納税をした証明をドイツの税務署に挙げなくてはなりません。

以前、シューマッハーがこれを行っておらず、税務署が告発をしたことがあります。

つまり納税義務から解放された場合でも、「何もしなくてもいい。」というものではなく、外国でどれだけ所得があったのか、この所得に対して納税を行ったか、ドイツで申告する義務があると私は理解しています。

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-  2013, 04. 25 [Thu] 18:52

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