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Abmahnung

2012年1月に著作権を無視してビデヲ/映画を提供していたMegaUploadが、警察の取り締まりで閉鎖された。ビデヲだけにしておけばいいのに、音楽の違法ダウンロードの提供を始めたのがマズかった。米国の音楽業界がFBIにこれを通報、かってから「目の上のたんこぶ」であったMegaUploadは、FBIの要請を受けたニュージランド警察の取り締まりで一網打尽になり、経営者が逮捕された。この経営者、ドイツでは有名な詐欺師で、18歳になる前から次々と詐欺を繰り返して警察に捕まっていた。ドイツの法律は甘いので、未成年者ということで刑務所に送られず、いつもすぐに釈放されていた。根っからの詐欺師であるSchmitzは、この経験から教訓を一向に学ぶことなく、成人してからも詐欺を繰り返し、今度は顧客のクレジットカードをコピーして販売した廉で、逮捕されてしまう。

シュミッツには警察に捕まっても、うまく境地を抜ける才能があった。これが彼をただの詐欺師から、超有名な詐欺師に出世する大きな助けとなる。今回もうまい言い訳を考え出す。電話会社に詐欺を防ぐ方法を享受する事で検察と取引、執行猶予付きの判決を獲得した。警察に捕まる度に、シュミッツの詐欺の方法は洗練されてくる。今度は会社を成立、一儲けを狙う投資家にこっそり「儲かる話」を漏らす。株が正式に上場されると注文が殺到、株価が高騰した。直ちに持ち株を全部売って大金を手中すると、海外に逃亡した(会社はすぐに倒産した。)。ドイツ人らしく、最初の逃亡先はバンコク。ここで優雅な生活を送っていればいいのに、今度はタイで詐欺を働き、タイの警察に逮捕されてしまう。タイの牢獄はしんどいので、ドイツ政府に助けを求めると、ドイツ政府はこれを承諾。(ドイツ政府は、日本人を見捨てる日本政府とは違う。)身柄はドイツ召喚される。ドイツで裁判になったが、何故か、判決はまたもや執行猶予付き。晴れて自由の身になる。

これで教訓を学ぶようなら、シュミッツではない。またもやドイツで詐欺を働き、警察に捕まる前に地球の裏側、ニュージランドに高飛びしてしまう。この逃亡先で始めた詐欺がMegaUploadであった。「さしものシュミッツも、FBI相手では言い訳が通じないだろう。」と思っていたが、未だにシュミッツの運は尽きていなかった。シュミッツの弁護士はニュージランド警察の書類上のミスを発見、シュミッツの無罪放免を要求している。ここでも検察と取引に成功して執行猶予判決が下りるようなら、あるいは無罪放免になれば、まさに映画並みのドラマだ。

シュミッツは特殊な例だが、ドイツでも違法ダウンロードに対する処罰は厳しくなった。厳密に言えば、音楽/映画を違法にダウンロードするのは問題/違法ではない。問題/違法なのは、所有している映画、音楽を他のユーザーにダウンロードできるように提供する事が、著作権の違反に当たる。ドイツの音楽協会は、違法ダウンロードを提供しているプラットフォームを監視しており、ドイツ国内のIPアドレスから、音楽がダウンロードされるのを待っている。IPアドレスを入手すると、お抱えの弁護士にこれを通報、弁護士はIPアドレスから住所を突き止めて、"Abmahnung"という罰金支払いを要求する恐ろしい手紙を送る。

その手紙が届くと、目が点になる。わずか10~20曲の音楽をダウンロードしただけで、3000ユーロもの罰金である。手紙を受け取ったある家族が、「息子が法律違反とは知らずに行った事。」と弁護士をたてて法廷で争った。この裁判では、違法ダウンロードをした家族が勝訴した。法廷の判断によると、「インターネットを使っての音楽のダウンロードはBagatelle(ささいな事)で、裁判で争われるような大事ではない。」との事。ただしこれは特別な例のようだ。最近の判決を見る限り、原告(音楽協会)が勝訴するケースがほとんどだ。裁判をしても勝ち目が少ないので、音楽協会に罰金を払うケースが多い。肝心の罰金の額だが、ダウンロードされた音楽/映画の数によるが、滅茶苦茶な量でない限り、100~200ユーロの罰金、そして700~800ユーロの弁護士費用となっている。

この仕事は弁護士事務所にとって、とても効率のいい仕事である。裁判になっても負ける心配はないので、90%以上の確立で罰金が徴収できてしまう。それもたった1枚の手紙を書くだけ。中には数千ユーロの弁護士費用を要求する悪徳弁護士も少なくない為、ドイツ政府はこの"Abmahnung"の弁護士費用の上限を、100ユーロ程度にすべく法律の整備をしてる。しかし優先度が低い為、まだ法律化に至っておらず、消費者は最新の注意が必要だ。

尚、この弁護士からの"Abmahnung"は、インターネットの接続を申請している人宛てに来る。ホームステイなどをして、ステイ先のインターネットを利用させてもらっている場合は、"Abmahnung"はステイ先に届く。この為、最近ではステイ先で「インターネットは使用できません。」と言われるケースが多くなった。自分で借りているアパート内で、インターネットを使用する場合は、WLAN(無線LAN)を暗号化しておかないと、隣人が勝手にインターネットを利用して、違法ダウンロードを行うかもしれない。そうなると身に覚えがなくても、自宅のポストに弁護士からの"Abmahnung"が届くことにもなりかねない。

この"Abmahnung"が届いてしまった場合だが、「超ブル~。」と沈没している時間はない。1週間以内に返事を書かないと、催促状が届くことになり、700~800ユーロの弁護士費用に、「手間賃」が上乗せされて、さらに100~200ユーロ罰金が増えることになる。かといって、同封されている手紙「もうダウンロードはしません。」にサインして返信するのは、やめるべき。この手紙、"Unterlassungserklaerung"と言うが、消費者に不利な条項が一杯だ。落とし穴に気がつかず、そのままサインして返送してしまうと、これを認めたことになり、もう言い訳はできなくなる。弁護士保険に加入しているなら、弁護士に相談しよう。弁護士保険に入っていない場合、消費者団体に相談する事になるが、ここは予約で一杯で、1~2週間待たされることになるので、使えないケースが多い。かと言って、市内にある弁護士事務所に相談すると、これまた数百ユーロかかってしまい、さらにお金が出て行く事になる。見事な、前門の虎、後門の狼状況である。


御用になった詐欺の「天才」シュミッツ、通称、Kim.com
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  • 2012.05.20 (Sun) 07:13 | まとめwoネタ速neo