最低賃金 (11.08.2007)

ドイツは労働賃金の高い国だが、勿論、例外もある。特に資格を必要としない職業、配達業務、お店のレジ、掃除、ガードマンなどがこの典型で、1日8時間、週5日間働いても手取りは900EUR程度だ。中には資格があっても、驚くほど賃金の低い業界がある。その一番いい例が、理容師。西ドイツの理容師で時給は6~7EUR程度。東に行くと自給はもっと低く、5~6程度だ。だから髪を切ってもらったら、チップを払うのが定石となっている。

仕事があるのに、その仕事の給料では生活できないという状況の原因になっているのは、法律で最低賃金が定められていないのが原因だ。特にサービス業では、どこの店もお客の獲得に必死で、客離れを恐れて値段を上げることができない。しかし電気代、家賃などの会社の運営費は上がる一方。結局、しわ寄せは従業員のお給料に来てしまう。法律で最低賃金を定めてしまえば、どこの店も同じ値段(条件)なので、こうした問題は解決できる(筈)なのだが、政府はこの最低賃金の導入に抵抗している。理由は簡単。最低賃金が導入されると、企業の人件費が上昇するので、これを阻止するべく企業が政治家に賄賂を贈ってこの提案を毎年、闇に葬っている。ドイツの政治家は特に賄賂に弱いようで、イギリスやフランスのような先進国は言うに及ばず、ハンガリーやルーマニアでさえ最低賃金は法律で保証されているのに、ドイツでは未だにこれが定められていない。

この法律の抜け道を利用した「ワーキングホリデー業者」が存在する。ドイツにて就労する場所/機会を提供すると宣伝して、契約金、入会金、果ては説明会、オリエンテーションなどと称してまずは手数料を取る。その後、就労条件の悪い事で知られる日本食レストランなどに送り込み、人材の仲介費用を取る。こうした就労場所では給与は決まって(税金のかからない)400EUR。そして、朝の仕入れから、夜更けの閉店後の清掃までこき使う。普通は劣悪な労働環境に音を上げてで3~4ヶ月で辞めていく、それは百も承知の上。「ドイツで働きませんか。」と宣伝を出せば、幾らでも志願者は「吐いて捨てるほど」居るし、ワーキングホリデー業者にしてみれば、同じ人が頑張って1年働くより、2~3ヶ月で辞めてくれた方が、それだけ多く手配手数料、仲介手数料が入って儲かる。レストランにとっても働く人が頻繁に変われば、労働局のチェックを受けても、違法就労などで罰せられる危険は少なくなる。こうして、延々(堂々)と悪徳商売を続けていくのである。

ドイツにワーキングホリデーに来る方の最大の関心事は、「仕事が見つかるかどうか。」そんな状態だと、社会経験不足も手伝って、いかがわしい業者が出している餌を喉の奥まで飲み込んでしまい、周囲の意見には耳もかさない。まあ、これも社会勉強のひとつかもしれないが、こういう業者に毎年、騙されている人が居るのを指をくわえて見るのは辛い。かと言って、「そこに行くのは辞めた方がいいですよ。」とアドバイスをすると、逆恨みをされてしまう。この為、本人が騙されたことに気づくまで、そっとしておくしか方法がない。某レストラン、某お土産店などは、常にワーキングホリデーの滞在者の募集が出ているが、常に募集が出ているという事は、仕事環境が劣悪ですぐに人が辞めていくことを示すいい指針である。逆に労働環境が良ければ、辞める人がいないので、そうそう頻繁に人材募集をする必要はない。

中にはワーキングホリデーでドイツに来たものの、お金を節約する為に、語学学校にも通わず、部屋にこもって、帰国日が来るのをじっと待っている人がいる。これではドイツまで来た意味がない。「なんとなくドイツにいく。」のではなく、渡独前に目標を立ててドイツにやって来る事が大事だ。目標がないと生活費節約だけを主眼に置いた、意味のない滞在になる。ドイツに来たからには、最低でも言葉くらいは習得してから帰国しよう。言葉ができれば、"google"でドイツ語で検索ができる。これにより情報量は飛躍的に上昇する。これに比例して、仕事に就く可能性も高くなる。「始めに言葉ありき。」というのは正しい。おまけに言葉ができないと、彼女もできない。そんな状態で1年も過ごすのは、あまりにもさびしい。


EU内の最低賃金表。ドイツだけは労働組合の要求金額
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