ドイツで就職する

「ドイツ語を習って、通訳でもすればいいや。」と考えて留学するのは、あまり賢い方法ではない。ドイツには、ドイツで育った日本人が多く居て、完璧な発音のドイツ語を話す。とてもじゃないが、比較になったものじゃない。もっと難しいのは、通訳の仕事を獲得すること。見本市にやってくる日本企業を飯の糧にしている先輩(年配)の通訳の方がすでに十分な数存在していて、新参者が参入できる隙間が小さすぎる。通訳で生きていくには、月7~8回程度のお仕事を定期的にゲットしなくてはならないが、上述の先輩だってそんな事は不可能で、皆さん、ちゃんと副業を持っている。日本に帰って田舎でドイツ語の教師にでなるならともかく、ドイツ語は仕事を遂行する為の手段として考えるべきで、ドイツ語を目的とするべきではない。

ドイツの就職方法は、日本のそれと形の上ではそれほど変わらない。採用案内に必要な資格、応募に提出する書類が書かれているので、まずはこれをじっくり読もう。間違っても、「履歴書に写真は要りますか。」とか、「どんな書類が要りますか。」などと尋ねることはしないように。「写真は要りません。」と書かれていない限り写真を添えるのは大人の常識だ。応募書類だってちゃんと何が必要か、ちゃんと書かれている。求職側では、ちゃんと常識を備えていて、自分で物を考えることができる人を探している。ちゃんと応募要項を読まないので早まった質問を送ったり、ボロが出るような質問はしないようにしよう。

ドイツで仕事の応募書類には、見習い終了の証明書、動機書、それに履歴書の3点セットを送るのが通常だ。これまで仕事の経験があれば、前の職場でもらった仕事の評価なども(いい内容であれば)同封する。ドイツでは新入社員に社内教育を施して、仕事のノウハウを教えるようなことはしない。採用したらすぐに使える人材を探しているので、見習いの修了書がないと、ドイツ企業への就職はできない。ただし同じ分野で数年間働いた経歴があれば、これは見習いと同じ経歴とみなされる。ドイツで日本企業に就職する場合は、この見習いの証明書が要求されないの事が多いので、ドイツで仕事を探す日本人は日本企業に応募する事になる。動機書とは、どうしてこの会社に就職したいのか、その理由を書くものだ。間違っても、「片っ端から応募しています。」とか、「特にこの会社でなければならない理由はありません。」と書かないように。本当でも。履歴書は間違っても、日本の書店で売られている用紙を使用しないように。そんな用紙を使用すると、「履歴書さえも自分で書けないのか。」と思われて、採用される事はまずない。同じことは、写真についても言える。これまでドイツ人の履歴書と日本人の履歴書を見てきたが、その出来栄えは雲泥の際がある。日本人はスピード写真で撮った安物。ドイツ人はちゃんと写真家に撮ってもらったポーズの決まった写真を貼っている。写真を見るだけでも、応募にかける意気込みが違う。

応募で大事なのは、こちらの意気込みを応募先に見せる事。面談であれば、その意気込みを示すこともできるだろうが、書類審査でこれを見せるには、立派な履歴書、動機書を作成するしか他に方法がない。応募書類を郵送する場合は、書類を入れるファイルケースにも、気を配りたい。間違っても、「生」の書類だけ送るようなことはしてはいけない。書類審査に合格したら、次はインタビュー、つまり面談となる。間違っても、「どんな服でいけばいいでしょうか。」などと面談先に聞かないこと。幸い、ドイツ人は服装にうるさくないので、常識の範囲で服装を選べば、この点で失敗をすることは滅多にない。それよりも大事なのは、面談を受ける会社が何をしている会社なのか、どれだけの規模の会社なのか、何処の資本の会社なのか、情報を仕入れてから行くこと。面接官が好む質問に、「わが社について、何を知っていますか。」というものがある。ここでスラスラと答えることができれば、いい印象を与えることは間違いない。逆に、「何も知りません。」と回答すると、「あなたは何をしているか知らない会社に就職したんですか。」とあきられることは間違いない。

しかし面談で一番重要なのは、なんといっても待遇、それもお給料だろう。ドイツでは社会保障費が高いので、お給料のかなりの部分が引かれて手元にはあまり残らない。この為、グロス(税込み)ではなく、手取りでどれだけ欲しいか、はっきり言おう。一度就職してしまうと、お給料はなかなか上がらないのに、インフラで物価は上がっていく一方だ。つまり毎年、「貧乏」になっていく。だからまずはその業界のお給料がどれだけなのか市場調査をしておいて、自分の才能、経歴に見合わせて10~20%高めに要求しよう。雇用側でも高めの給料を要求されると、「それだけ要求するなら、仕事ができるに違いない。」といい印象を与える。すると雇用側が、「○○ではどうですか。」と応じれば、もう仕事は半分勝ち取ったようなもの。もしその額が満足のいくものなら、その内容で雇用契約書を準備してもらおう。予想(期待)していた額と大きく異なるなら、「申し訳ないですが。」と仕事を断るのも方法のひとつだ。はっきり物を言える人間は、ドイツでは好まれるので、面談の最中にいい印象を与えていれば、間違いなく後から「考え直しました。」と改善されたオファーが届くだろう。又、仕事探しは、恋人探しのようなもの。一発でうまく行くことはまずない。返事が返ってこなくてもくじけないで、どんどんアタックしよう。
          
こちらに(会員専用ページです。)動機書と履歴書の見本を挙げておいたので、ドイツで出願、求職される際の参考にしてください。
          


019.jpg

日本には握手の習慣がないから、ドイツ人が始めて箸を使う時のように、間違って握手をする事が多い。握手はその名の通り相手の手を握って、こちらの意思を伝えるものだ。男性なのに「フニャフニャ」とした握手をすると、いい印象を与えないので、がっちり相手の手を握ってやろう。その際、相手の目を見ることを忘れずに。これは「何も後ろめたいことはない。」という合図である。間違っても求愛の合図ではないので、誤解しないように。

スポンサーサイト

COMMENT 0