Care Energy倒産 (17.04.2017)

前の記事で、「電力会社の変更を検討してはどうだろうか。」と書いたので、今回は電力会社がテーマだ。すでに何度も書いているが、「安い。」が「良い。」という意味に解釈されるのは日本だけ。ドイツでは、"Wer billig kauft, kauft zweimal."(安物を買うと、二度買うことになる。)と言い、安い値段に釣られることを警告している。これは家電製品だけでなく、語学学校等のサービス業、それに電気代についても同じことが言える。

とは言っても、日本に住んでいると「安い電気も、高い電気も同じ電気じゃない。私は安い電気を選びます。」と思われるに違いない。日本ではそれでも構わないかもしれないが、ドイツではそうはいかない。安い値段を武器にしている会社は往々にして仕入れ値と同じか、仕入れ値よりも安く電気を提供している。「素晴らしい!」なんて感激する人は要注意。仕入れ値と同じ値段で電気を販売すると、儲けがないので会社は赤字になる。赤字だと電気市場で買い入れた電気代の請求書、送電会社からの請求書が払えなくなる。これを避けるため、常に新しい顧客を安い値段で釣り上げると、新規の客が払う金で請求書の支払いに当てる。あるいは会社の持ち主が海外で不動産を購入して、"D-Day"に備える。
           
客の数が増え続ける限り、この商売はうまく行く。ところがいつかは限界に達する。もっとも会社の創設者はそんなことは百も承知の上。会社が倒産するまでどれだけ多くの客を釣り上げることができるか、それだけが目標だ。十分な額の金を横領、もとい海外で親戚の名前で不動産を購入すると、とんずらする。この方法で"Flexstrom"、"Teldasfax"が大成功を収めており、消費者は痛い目に遭った。ところがこういう雪ダルマ式の商売を監視するはずの"Bundesnetzagentur"は、官僚だけあって動きが遅い。官庁が動き出すのは、会社が会社更生法の申請を上げてからで、この商売を取り締まる能力はない。

この法律の抜け目に目をつけたオーストリア人の売れないデイスコ ジョッキーは、本業を辞めて、ドイツで電気を販売することにした。その名前は"Care Energy"。超安価な値段を武器に、客の獲得に乗り出した。日本人を弁護すると、安い値段に弱いのは日本人だけではない。「ケチ」で知られるドイツ人も、この電気料金に飛びついた。めでたしめでたしで終わると思ったら大間違いで、ちゃんと電気代を払っているのに、「支払いが滞っています。」という手紙が届く。「ちゃんと払っていますよ!」と抵抗すると警告書が届く。そこには「弁護士費用」と称して数百ユーロが計上されている。こうして安い電気で損をしたお金を取り戻すわけだ。それでもドイツ人は安い電気に飛びつき、会社はわずか数年で25万もの客を獲得、売れないデイスコ ジョッキーは大金を手にした。

ところが今回は悪事を働くオーストリア人に天誅が下った。溜め込んだ金を使う前に、オーストリア人が死んでしまった。後継者が会社を引き継いだが、電力会社や送電会社からの未払いの請求書が山積しており、会社の資産を全部売ってもこれを払う事は不可能だと悟り、この3月に会社更生法の適用を申請した。お陰でこの会社と契約を結んでいる客は、冒頭で述べた通り二度、電気代を払うことになる。というのも会社が倒産しても、契約はまだ有効なのだ。「倒産したらからもう払いません。」ということをやると、会社の弁護士氏から請求書が届くので、ご注意いあれ。倒産した会社と契約していると会社の後継人から、「この新しい口座に電気代を振り込んでください。」という手紙が届く。この手紙が届いてから、新しい口座に電気代をこれまで通り振り込むことになる。間違って古い口座に振り込むと、"Konkursmasse"(負債返却用の資産)として換算されて、取り戻すことはできなくなる。

電気会社が倒産すると、地元の電力会社が送電を自動的に引き継ぐので、該当者はお金を払う以外、何もする必要はない。その際、倒産した電力会社に支払った数ヶ月、運が悪いと1年分の電気代は、上述の"Konkursmasse"に入っているので、過去数ヶ月にさかのぼって、運が悪いと過去1年分の電気代を、地元の電力会社に支払うことになる。「そんなの嫌です!」と言っても、他に手段はない。二度払いになるのは地元の電力会社の責任ではなく、倒産した電気会社が請求書を払っていなかったのが原因だ。

一方で電力会社を変更を勧めておき、もう一方では「安い電気を提供している会社には注意されたし!なんて言うんじゃ、どうすればいいのかわからない。」とお嘆きの方にアドバイス。今、電気代の比較をすると25~26セント/Kwの電気代が平均だ。すなわちこの金額なら、会社がなんとか黒字になるわけだ。なのに倒産した会社のように19セント/Kwなんて料金を提供していると、「お得!」じゃなくて、「怪しい」です。料金の比較をする際は、ちゃんと会社が黒字になる料金の範囲内で会社を比較しよう。安い値段に説得されないように、"Wer billig kauft, kauft zweimal."(安物を買うと、二度買うことになる。)という言葉は常に、頭の片隅においておこう。



どうすっぺ?
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