儲かる話 "Schrottimmobilien" (17.03.2017)

「儲かる話。」と検索してここにたどり着いたあなた。詐欺師にひっかかりやすいです。色気を出さないで、落ち着いて考えてみてください。仮に「儲かる話」があったとして、あなたがこれを発見したとしましょう。どうしますか?自分で利益を上げる前にネット上で、「こうしたら儲かるぞ。」と書いて皆に知らせますが、それともまずは真っ先に自分で儲けますか。わざわざ聞くまでもなく、まずは真っ先に自分で儲けますよね。ネットで書かれてる儲かる話は、自分が金儲けをするために鴨を呼び寄せる餌です。とりわけ人気なのが「○○で幾ら儲けた。」とか、「儲けた金でハワイ移住。」という撒き餌。「所変われば品変わる。」といいますから、ここではドイツ人がひっかかかる、「儲かる話」について紹介します。

「株に投資するのは気が進まない。」というドイツ人がよくひっかかるのが、「森(木)に投資して、自然を守ってお金まで儲かる。」という儲かる話。以前ここでも紹介した、"German Pellets"がその典型。「環境保護」という言葉に弱いドイツ人は、「ウイン ウインじゃないか。」とコロリと騙される。勿論、全部が詐欺なわけではないが、森(木)に投資して利益が出るのは、最低でも100ヘクタールの規模で、しかも利益がでるのは20年以降の話。それも20年間、嵐や台風が来ない、害虫に犯されない、山火事に遭わないという条件が全部揃っての事。森(木)なんぞ、個人投資家が投資するものじゃない。

「それじゃウイスキーに投資してみては。」と誘われることもある。この投資方法を薦める人は、「インドや中国でお金持ち階層が増える一方で、良質のウイスキーは生産量が限られており、値段は登る一方だ。」という。そこで「今から良質のウイスキーを購入しておけば、10年後には倍になるのも夢じゃない。」という。実際、すでに良質のシングル モルトの23年物は数千ユーロもする。この投資の欠点は、お金儲けをするなら数本ではなく、数ダース買う必要があること。当然、保管場所の問題が出る。自宅にワインケラーを持っているなら問題ないが、数ダースものウイスキーは大きな場所を取る。これに加えて儲けを出すには長期間保管する必要があり、引越しなどは手軽にできない。自宅に泥棒が入る危険もある。株なら場所を取らないし、泥棒が入っても盗まれない。しかしウイスキーへの投資には、株にはない利点もある。すなわち値段が上昇しない場合は、ウイスキーを自分で飲める。株だとそうはいかない。

「それじゃオールドタイマーに投資してみては。」という人もいる。50年代に製造されたBMW 502は6~7万ユーロ、メルセデス 190SLは18万5000ユーロ。(邦貨で2000万円)。「10年もすれば、値段が倍になるのも夢じゃない。」と悪魔が耳元で囁くが、ここでも大事なのは株と同じで、儲かる銘柄を探すこと。ちゃんと整備されており、書類も揃っていて、錆びていないオールドタイマーは高い。そんな車を買うのは、株を最高値で買うのと同じで、買った瞬間から価値の減却を覚悟しなければならない。運がよければ10年後には、購入価格を上回る価格で売れるかもしれないが、10年間も安全に保管、整備するには膨大な金が必要だ。オールドタイマーで儲けている人は、状態の悪い車を安い値段で購入、自分で修理、整備しているから儲けも大きい。素人がすでに整備された車を買えば、すぐに値段があがるものではない。

「株を買うのはちょっと。」という方に人気なのが、金(きん)に投資する方法。「金なら何が起きてもその価値が保障されている。」というのがその理由だ。2016年は株式市場での乱高下が激しかった。結果、株に投資してお金を失うことを危惧した個人投資家が大量に金を購入したため、株価が上昇しているのに、金の価格も上昇する不思議な現象が発生している。「金王道説」を翠帳する人は、「1オンス1500ドルも夢ではない。」と言う。そのような目標値には根拠がなく、ただの予感/予想に過ぎないことをお忘れなく。金への投資で最大の欠点は、配当金が出ないこと。一方、ドイツのトップ30企業のDAXの平均配当利金は3.7%。1万ユーロ投資すれば、DAX Index ETFなら毎年3700ユーロ配当金が出る。それも毎年。金に同額投資して、万が一価格が1オンス1500ユーロを突破しても、儲けは1700ユーロ未満。それも数年後の話で一回きり。株ならその4~6倍の配当金だ。金への投資は安心感はあるかもいしれないが、効率のいい投資ではない。そこで投資家は金ではなく、金を採掘している金鉱に投資する。金の価格が上昇すれば、会社の価値も上昇して、配当金も上昇するからだ。もっとも金鉱から金が出なくなったら、株価は一気に急降下する。

「結局、何処に投資すればいいのかわからない。」と銀行に相談に行くと、"Betongold"(コンクリート金)への投資を薦められる。ドイツでは数年前からバブル気味、アパート、マンションの価格は上昇する一方だ。「アパートを買い、毎月の家賃の代わりに借金を返済すれば、20年後にはアパートが自分の物になる。」や、「ライプチッヒのアパートを買ってこれを賃貸すれば、賃貸収入で借金が返済できて、20年後にはアパートはあなたのものなる。」という「おいしい話」を聞かされる。「この話の何処が悪いのかわかりません。」という方は、銀行に相談に行かないほうがいい。本当にそのような儲かる話があれば、銀行、あるいは銀行員は客に薦める前にそのような不動産を自分で購入している。それをしないで、客に薦めるのは儲からないからだ。そのような投資は儲からないばかりか、大きな挫折で終わることも少なくない。

不動産を買う場合、最低でも2割は自己資産が不可欠だ。できれば3割か、それ以上が望ましい。長期間のローンでは、事故、病気、会社の倒産で借金を払えなくなるケースもあるからだ。間違っても「30年ローン」なんて組むものではない。20年ローンでもヒヤヒヤ物で、まだ30代ならいいが、40代で20年ローンを組むのは自殺行為に等しい。銀行は不動産を売ると手数料が入り、ローンを与えることで金利が入るので、ローンを組んでの不動産投資は銀行(だけ)にとって、「ウイン ウイン」だ。だから銀行ではこのような危なっかしい投資を薦めてくる。「いや、私はニコニコ現金払いなので、その心配はありません。」という方、心配は大有りです。

不動産の値段が上昇を始めて、かれこれ6~7年になる。儲かりそうな物件、一等地にある売り物件はすでに不動産業者が買い上げて改装工事を施し、目のくらむような値段で販売されている。これを現金で購入して賃貸に出しても、投資した金を回収できるのは20年も先の話。そもそも回収できればの話だ。ドイツ人は、家賃を払えないのにアパートを借りる。最初の家賃だけ払い、あとは払ってくれない。そのような人物を呼ぶ言葉、"Mietnomaden"(家賃放牧民)まで出来ている。裁判所にアパートの押収を申請して、この許可が出るまで1年くらいかかる。この放牧民に小さな子供がいたり、身体障害者だったりすると裁判所は申請を許可しない。こうして数年後に自分のアパートを取り戻す頃には、アパートは朽ち果てて、床には糞尿が散乱している。金の掛かる数年に渡る法廷闘争後、これをリノベーションするだけの気力が残っている大家は多くない。

ところが、「捨てる神あれば、拾う神有り。」でそのようなアパートを買い上げる業者がいる。火事で屋根が焼け落ちたアパート、基礎工事が悪く、アパートが地下水を吸い上げて壁にカビが生えて住めなくなったアパート、それに放牧民が残したアパートを買い上げると、ちゃちゃちゃと壁紙だけ張り替えて、床はラミナートを張って見えないようにする。あとはアパート専門の写真家を雇い、"Schrottimmobilien"(ボロボロアパート)を、「お買い得物件!!」として販売する。「不動産に投資したい。」という鴨が銀行に来ると、このアパートを紹介する。豪華なパンフレットに載っているアパートの写真はまるで宮殿。「ドイツの大手の銀行だから間違いない。」と、実際に不動産物件を見もしないで買う個人投資家の多い事。ドイツ全土にはそのようなボロアパートを買わされた投資家が30万人も居る。ある個人投資家は老後に備えてそのようなアパートを購入したが、家賃収入が低すぎて、自分の住んでいるアパートとローンの返済に行き詰まり、自殺した

ドイツで不動産物件を買う場合、日本でもタイでも何処の国でも常識だが、"Immobiliengutachter"(不動産鑑定家)を必ず雇うこと。地下室の壁の水分含有率から、アパートの面積、窓、床、壁の具合まで繊細に調査してもらえる。費用は安くないが、全財産をするよりは安い。「それじゃ、土地を買って、そこにマンションを建てます。」と言われても、すでに市内の便利な場所には空き地はない。空き地があれば、銀行などが投資目的に買い上げて高い値段で転売している。そんな土地を買ってマンションを建てると、高級マンションにしないとペイしない。個人投資家の手の届く範囲ではない。それに今の不動産ブームが、さらに20年も続くとは思えない。株でも不動産でも、安く買って高く売らないと、儲からないのは一緒。高値で買ってそれでも儲けを出すには、ブームが引き潮になる前に、短期間で転売する必要がある。銀行や不動産業者の「お勧め物件」や「儲かる話」は、かならず"Haken"(鉤)が隠れていることをお忘れなく。


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