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「一株でも買えますか。」とは、株式投資に興味を持ち始めた方からの質問。勿論、1株だって買えます。もっとも株を売買すると、銀行に手数料を払う必要があります。手数料は銀行により大きく異なり、5ユーロで済む銀行もあれば、40ユーロ近く取る銀行もあります。すなわち1株だけ買うと、損をするだけ。なのに1株だけ買ってどうするんだろう。まあ、それは人の勝手ですね。そうかと思えば、「日本だったらご優待券なんかもらえるんですが。ドイツではどうですか。」と他の日本人の方から。(ドイツの)株式はデパートの年末大安売りではないので、福袋もなければご優待券もないです。株主は年1回、株主総会に出る機会があるだけです。

決心したら、株式売買の口座"Depot"を開設しよう。普通は口座を持っている銀行にて開設するもの。以前はどこの銀行も1オーダー10ユーロだったが、2010年頃から一斉に値上げ、大手の銀行は10~40ユーロの手数料を取るようになった。これを嫌って、手数料の安いオンライン銀行/ブローカーに口座を開設する人も多い。もっとも「1オーダー5ユーロポッキリ!*」という宣伝文句の*の部分を読んでみると、「最初の半年だけ。以後、10ユーロ。」と書かれている。「1年だけでも十分!」という人は少数派で、「わざわざ別の株式取引口座を設けるのは面倒!」と、結局は預金のある銀行にてDepotを設けるケースが大半だ。もっともその他に隠れた手数料もある。某大手の銀行で(例えば)50株のオーダーを出しても、50株まとめて買わないで、10株+40株という買い方をする。俗に言う「スプリット」である。こうして銀行は二度も手数料を取ることができる。もしオンラインブローカーがオーダーをスプリットしないで10ユーロで済むならば、そこにDepotを設ける価値はあるかもしれない。

取引口座を開く際に、「あなたはどんなタイプの投資家ですか。」というお決まりの質問をされる。ここで「最大20%程度の損益なら我慢できる。」という危険を回避した慎重な投資家のタイプを択ぶと、後で困る事になる。慎重な投資家で登録されてしまうと、DAXと一部のMDAXのタイトルが変えるだけ。変動の大きい株は「あなたのリスクでは買えません。」というメッセージが出て、オーダーが入らない。この査定は後から撤回/修正できるが、時間がかかる上、面倒。最初の段階であまり慎重な査定をするのは避けておこう。

取引口座を開いてしまえば、あとは買うだけ。問題は何処でどうやって買うか。ドイツには金融業の中心地フランクフルトだけではなく、ベルリン、ミュンヘン、デユッセルドルフ、シュトットガルトにも株式市場があるので、どこの市場で買うか市場を決める必要がある。と言えば、「えっ、どこにすればいいの?」と面倒に思えるが、これは実に簡単。売買されている株の数、種類、取引手数料、どれをとってもXetraが一番。証券などを買わない場合、何も考えずにXetraにすればいい。「Xetraって何なの?」という方の為に説明しておくと、これは純粋なオンライン市場。すべて自動化されているので、手数料が安い。当然の成り行きとして、ここで取引される株式の数は群を抜いて多い。勿論、「電話でオーダーしたい!」と言う方は電話を使用することもできるか、デイーラーが入るとオーダー料が高くなる。

面白いことに株の買い方に、その人の性格が出る。株が上昇を始めるとその銘柄に相乗り、自分では何も下調べしないで、そこそこの儲けを期待する人。そうかと思えば、株価がガックリ下がるを待って、「明日からは上がる!」と大儲けを期待して株を買う人。あなたが投資するならば、どちらのタイプだろう。儲けをする確立が高いのは前者の方。一度上昇を始めると10~20%上昇するケースが多い。「相乗りして10%上昇したら、売却。」という簡単な戦術だと、滅多に損をする事がない。逆に一度下降を始めると、20~30%も下落することも珍しくない。だから下落している株を買うのは慎重に。ドイツではそのような傾向にある銘柄を"ein fallendes Messer"(落下中のナイフ)という。落下中のナイフを掴むと血だらけになるように、落下中の株を買うとDepotは真っ赤になるという意味である。そうそう、不思議な事に日本では株価が上昇すると赤字で表示されている。世界広しといえど、これは日本だけ。他の国では、赤は赤字である。

この機会に、ドイツ株式の歴史も紹介してみよう。日本ではその昔、NTTが民営化されると株価は高騰、1株300万円を超えた。そこまでひどくはなかったが、ドイツでもテレコムが民営化されると、大人気を博した。"Volksaktien"「国民株」と呼ばれて、なんと1株の価格が100ユーロを越えた。アナリストは、「200ユーロも夢ではない。」と"kaufen"(購入すべき)と推薦を出した。これが原因で、何も知らない素人は100ユーロで株を売らずに、株価が200ユーロに達する日を夢見た。ところがNTT株がかってない暴落をしたように、テレコム株はそれから10年間下落を続けて、ようやく8ユーロで底値に達した。実に90%を楽勝で超える下落である。ドイツには未だに100ユーロで購入したテレコム株を保有している人が多く、国民株と呼ばれる由縁である。

リーマンショックで株価は軒並み暴落したが、特に銀行株はひどかった。一時、120ユーロを記録したドイツ銀行の株は2009年に16ユーロを記録した。86%もの暴落である。2013年になっても33~37ユーロの間を動いているだけで、今後も大きな回復は見込まれていない。しかし暴落のトップはドイツ第二の銀行Commerzbankである。リーマンショックの前、22ユーロを記録して、「30ユーロも夢ではない。」とアナリストはこの株を買うように勧めた。市場のシェアを拡張すべく、頭取は当時すでに不良債権の宝庫と化していたDresdner Bankを買収すると決断、こうしてCommerzbankの崩壊が始まった。夢から覚めると、この銀行の数は30ユーロどころか、2013年には56セントにまで落ちた。銀行は、「これじゃかっこわるい。」と10株まとめて1株にするという裏技を発揮したが、事実上97%を超える暴落である。皆まで言えば、Dresdner Bankの買収時まだ残っていた頭取の髪は、株価と同じ運命を辿った。

未だに業績悪化を続ける業界が2つある。電力と鉄鋼業界である。E.ONはドイツ最大の電力会社、すなわち日本の東京電力に匹敵する電力会社だが、リーマンショック前は株価は50ユーロを超えていた。リーマンショックで19ユーロまで下落、やっと25ユーロまで回復したと思ったら、福島ショックがやってきた。株価は13ユーロにまで下落したが、これが終わりではなかった。政府が原発廃止を決定、電力不足を補うべく、太陽発電、風力発電に補助金で出すとドイツでは一気に一攫千金ムードに沸いた。農家はでかい家畜小屋、納屋の屋根に太陽発電パネルを置くだけで、政府の補助金が雨のように降ってきた。面倒な家畜や作物の世話をしなくても、これまで稼いだ以上の金がはいってきた。これを見た隣の農家は、「目指せ、一攫千金!」とまずは納屋を必要もないに大拡張、その新しい屋根の上に燦燦と輝く太陽パネルを載せた。寛大な補助金のお陰で納屋拡張の費用はわずか数年で銀行に返却できて、あとは笑いながら余生が過ごせる事となった。

こうしてドイツ中が補助金フィーバーに沸いたが、貧乏くじを引いたのは補助金を可能にする為に値上げされた電気代を払う消費者と電力会社だった。「代替エネルギーを優先する。」という政府のお達しで、天気のいい夏には電気が過剰供給状態、ガスや石炭発電所は休憩を余儀なくされた。しかし発電所は、「稼動してなんぼ。」である。休憩していては、経費(社員のお給料)だけ発生して大赤字である。挙句の果てには過剰供給で、電気の値段が下落を始めた。特に製鉄製銅業などの大手の客への電気価格が半減すると、電力会社の儲けも半減した。それだけでは済まず、今度はガスの値段も下がってきた。"Schiefergas"と呼ばれる天然ガスの採掘が米国を始めとして盛んになり、過剰供給の状態になってきたのが原因である。しかし、大手の電力会社はロシアのガスプロムと10年契約をしており、値段の変更は不可能。結局、消費者に購入価格でそのまま売るか、あるいは購入価格から値引きして赤字でガスを売るという有様だった。こうしてE.ONの株価は福島ショックでも経験しなかった底値、11.80ユーロまで下落した。当然、ここまで落ちれば少しは回復するだろうが、しばらくは大きな回復は見込まれない。
 
その電力業界よりもひどい惨状に直面しているのが鉄鋼業界だ。2008年まで「いけいけどんどん!」で設備投資、ブラジル、アメリカ、中国など今後の発展が見込まれる国で次々に工場を建てた。折からの不景気で鉄製品への需要が減ったが、設備投資した新品の工場は残った。ドイツ最大の鉄鋼(及び軍需)複合体のThyssenKrupp社は、中国の土建会社に作らせたブラジルの製鉄所が故障ばかりで運休状態。お陰で大赤字。これえを売ろうにも、二束三文も値段しかつかないので、第二次大戦敗北以来の危機に襲われている。同社は会 社の根幹である鉄鋼業を放棄して、エレベーターや潜水艦、駆逐艦などの製造を行う第二のジーメンスになる計画を模索しているほど、鉄鋼業界はお先真っ暗だ。ドイツで第二の規模を誇る鉄鋼会社、Salzgitterはリーマンショック前に株価が170ユーロ直前にまで高騰して、MDAXからDAXに昇格、「200ユーロを突破するのは時間の問題。」とまで言われていた。ところがリーマンショック後、株価は毎年半減を続け、DAXからMDAXに降格、2013年には株価が24ユーロにまで下落した。実に85%を超える暴落である。
         
逆に見事な復活を成し遂げたのがタイヤで有名なContinental社だ。この会社はライバル社に敵対買収されたが、買収に必要な資金を銀行に借りすぎた。さらにリーマンショックが及ぼした不況で親会社が経営不振に陥り、子会社のContinentalも同じ運命に巻き込まれた。株価は10ユーロにまで下落、DAXからMDAXに降格した。ところがである。ここから夢のような回復が始まった。株価は上昇に上昇を続け、2013年には120ユーロを突破して、MDAXからDAXにカムバックを果たした。2009年に10ユーロの底値で買った勇気のある人がいれば、4年で投資額を12倍にする事ができた。
         
これまで不況に喘いでいた欧州で、ようやく経済回復の兆しが見えてきた。欧州の買い付けマネージャーインデックスが2ヶ月連続で(経済成長を示す)50を超えた。今後、欧州で本当に経済が回復すれば、欧州の株式市場が盛況する事は間違いない。実際、アジア市場から大幅な投資金が回収されており、アジアの株式市場は真っ赤に染まっている。アジアから撤収された資金は行き場を探しており、これが欧州市場に流れ出すと、2013年末には大きなラリーがあるかもしれない。それとも中央銀行の金利政策の変更で、大きな暴落が来るか。それは誰にもわからない。近い将来必要になるお金を投資するのだけはやめておこう。


株価22ユーロ。
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2013年、株価56セント。
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(中古)車を探せ! (17.06.2013)

ドイツでの生活が安定すると欲しくなるのが車。ドイツと言えば、アウデイ、メルセデス、ポルシェ、BMWなど高級車の原産国。(もっとも部品の多くは海外で生産。)ドイツに居る間にドイツの車を運転しないで、一体、いつできるだろう。しかしやっぱり新車は高い。デイーラーは「利息0%」という言葉で釣っているが、ここでも「ただより高いものはなし。」という日本の言葉が当てはまる。中級クラスの車なら(折からの不況も手伝って)交渉次第で10~20%も割引してくれる。高級車でも10%程度の割引は可能。すなわち今の安い金利を利用して銀行ローンを組み、「現金」で購入すれば、金利以上の割引が手中に出来て、結局は安く上がるのである。これは車に限らず、コンピューター、洗濯機でも同じ。金利ゼロのローン返済よりも、ローンを組んで現金購入、割引をゲットしたほうが結局は安くあがる。

「じゃ、BMWの新車を買おう。」と本当にローンを組んで、Z4を買ったとする。何かの理由、失業、病気などでローンの支払いがしんどくなる。「まだ新しい車だから、売ればローンは返済できる。」と思ってBMWの支店に行くと、購入から1年経っていないのに、新車の値段から1万ユーロも安い値段しかつかない。結果、車はないのに、ローンだけ残ってしまう。ドイツでは、「ナンバープレートを貰う為に交通局に行ったものの、急に考えが変わって車を売ると、それだけで数千ユーロ購入価格より安くなる。」と言われるほど、新車の減価償却は激しい。特に最初の1~2年でかなり急激な減価償却をするので、減価カーブの安定する登録2~3年程度中古車はお買い時。さらにドイツの車は丈夫なので、事故で廃車にならない限り20年程度使用される。だから10年使用の車でも、結構な値段で車が売れてしまう。日本では中古車の値段が極端に安いので、日本で中古のオートバイを購入、リミッターカットを施して、ドイツで販売していた業者も居たほど、価格の差が激しい。

中古車の値段を大きく左右するのは、初回登録の年、装備、それに走行距離の3要素。登録の年、車の装備は変更する事ができないが、車の走行距離は結構簡単に操作できてしまう。新聞などに、"Tachojustierung"(走行距離操作いたします。)という宣伝が頻繁に出ているので、個人でも操作が可能だ。トルコ人、アラブ人、言うまでもなく個人経営のドイツ人の経営する中古車センターでも、走行距離が操作されていることが多い。ドイツ人はイタリアやスペインまで車で休暇に行く。トルコ人は車でトルコまで走破するので、10万kmなんかすぐに突破してしまう。ただし10万kmを超えると、修理、交換する部品が増えてくるので、いい値段が付かない。そこでこうした走行距離の「調整屋」が登場する事になる。

言うまでもないが、走行距離の操作は禁止されている。もっともこの法律には穴があり、車を販売する前に、車の価値を上げる為に操作するのは禁止されているが、その他の目的で操作するのは認められている。「その他の目的って、一体何なの。」という方もおられるに違いない。例えば、奥さんと車を共用しているとする。これがタイ人のように浮気のチェックに厳しい奥さんだと、会社までの走行距離を熟知、走行距離をチェックしている。急に30kmも増えていたら、「あなた、一体何処へ行っていたの。」と詰問される事になる。本当に浮気していたか、していないかは、この際二の次。こうした「個人的な問題」を解決する為に、走行距離を調整するのは営利目的の詐欺でなないので、許されている。この法律の抜け穴を利用して、「個人的な問題」を解決してくれる調整屋さんが実に多い。中古車をメルセデスやBMWの正規代理店で購入しない限り、中古市場で売られている中古車の過半数は「調整済み」と見ておいたほうがよい。

こうした背景があり、ドイツで中古車を探すと"Scheckheftgepflegt"と書かれていることが多い。これは車の整備手帳に、「いつ整備を受けたか、抜け目なく記入されています。」というもの。手帳に整備の日付と走行距離がボールペンで記入されているので、変更することはできない。だからこれが走行距離の調整をしていない証拠となる。もっともインターネットで販売されている車の半数以上が"Scheckheftgepflegt"と書かれているので、明らかに幾つか詐欺がある。しかし、これは結構、簡単に見分けが付く。「整備手帳がなくなったので、新しく購入した。」と言い、同じ整備工場のスタンプが押されている手帳は怪しい。スタンプの色まで同じなら、明きからに同一時期に押したものだ。中には、「整備手帳が水に濡れちゃって。」と解読不可能な手帳を用意している場合もある。そのようなケースでは、「車を見せてくれてありがとう。奥さんと相談して連絡します。」と言って、その場を去るのが懸命だ。奥さんがいない方でもこの台詞は使えるので、是非、利用いただきたい。

中古車をインターネットなどの個人販売で購入する際の危険は、何も走行距離の操作だけではない。業者にて車を購入すると、消費税の19%が上乗せされており、個人間で購入するよりも高い。しかしデイーラーは中古車でも1年間保障を付けることが義務付けられており、1年以内の故障はデイーラーが無償で修理しなくてはならない。逆に個人販売の場合、売買契約書にサイン、鍵を受け取って自宅に帰る途上で車が炎上しても、文句は言えない。サインをした瞬間に、故障込みで購入する事になる。勿論、売却側があらかじめ車の故障を知っていて、これを沈黙した場合は契約を反故にできる。しかしそういう輩は「知らなかった。」と言うので、車を買った側は、売却側が車の故障を知っていた事を証明しなくてはならず、これは通常無理である。だから安全を期すなら、少々大目の失費になるが、デイーラーで購入したほうが安全だ。

「保障期間中なのに、お金を請求されました。」とご不満の日本人。保障というのは、不可抗力なくして故障した機能、部品に対して提供されるが、オイル交換、ブレーキ交換、あるいは整備費まで無料になるものではない。保障期間中でも車を整備に出せば、整備費用はかかるし、消耗品、オイルやブレーキ関係などはその費用を支払う必要がある。もっとも整備工場の中には、ドイツ語で言う"schwarze Schafe"(悪徳業者)は少なくない。典型的なのは、「ブレーキが薄くなって、これじゃ危険。」という台詞でブレーキパッド、あるいはブレーキデイスクまで交換させて金を稼ごうとするケース。多少、自分で知識があれば対抗できるので町工場でも大丈夫だが、そうでない場合、正規代理店の修理工場に整備を頼んだほうがいい。勿論、正規の整備工場は少々値段が高いが、整備をしていないのに、整備をしたように請求書に項目だけ記入されてお金を取られるよりは、まだマシ。

車をネットなどで探して個人で購入する際の最大の危険は、走行距離の操作ではなく、存在もしていない車にお金を払ってしまう事。ネットで欲しい車を検索していると、同じような装備、走行距離なのに、他の車よりも3000ユーロも安い値段で提供されているケースがある。「今日はなんてラッキーな日!」とばかりに、「車を買いたいです!」とメールを送ると、「ロンドンに転勤になった為、車はイギリスにあります。」という返事が届く。「車は整備を終えたばかりで、この通り問題ありません。」と最新の請求書まで添付ファイルで送られてくる。「車が見れないは不安だけど、その分安いから買います。」と返事を送ると売買契約書が送られてくる。そこには「スペインにある信託銀行に費用を送金してください。」と書かれている。「この信託銀行にお金が入金されれば、ドイツまで車を送ります。」という筋書きだ。

今更言うまでもないだろうが、信託銀行などは存在しておらず、実際にはウエスターンユニオンの送金口座。ここに入金されると、ルーマニアに住んでいる詐欺団に送金される仕組みになっている。こうして最初から存在していない車を購入、お金だけ失うという結末になる。あまりにも安いオファーには要注意。2万ユーロで売れる車を、1万5千ユーロで売る人は居ない。そんなに安いのは、車が存在していないか、時限爆弾が隠れている証拠である。車は自分で見て、試乗して、できれば整備工場でチェックしてから購入しよう、お金の支払いは送金ではなく、現金渡し。現金の代わりに、"Fahrzeugbrief"(車の所有権を記載している書類)をその場でもらう事。「後から送る。」などと言う場合、お金を渡してはならない。ドイツの法律では、この"Fahrzeugbrief"を所有している人が、車の所有者である。仮に車を受け渡しされても、この書類がない限り、所有権は移っておらず、販売側はいつでも車を取り戻すことができる。
          
このように個人売買の危険は高いので、できれば知り合いや、日本人から譲り受けるのが一番危険が少ない。ドイツ人、あるいは「外国人」から購入する場合、ドイツ人の同僚などに同行を頼んで、上述の"Scheckheft"に操作がないか、確認してもらったほうが良い。又、どんなに安くても、「車庫に停まったまま。」の車には手を出すべきではない。車に試乗する際は、まず車を2mほど移動、車が停まっていた場所に油が漏れた後がないか、確認してから試乗を開始しよう。油漏れをしている車はギアボックスが逝っている可能性が高く、これを居入れ替えると数千ユーロかかる。今乗っているメルセデスは走行距離8万6千キロなのに、サスペンションから油漏れ。これを4本交換すると請求書は1800ユーロを超えた。ドイツ人曰く、「車が壊れると(その修理費で)、どんな車に乗っているかわかる。」そうだ。ドイツでは高級車が一見、安く買えるように見えるが、下手をするとその修理費が車の時価を越えることもある。ご注意されたし。
          

走行距離「調整」中。
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シールで環境を守れ! (19.05.2013)

「あっれ?」車を道脇の駐車スペースに停めて、「いざ、トレーニング。」と歩き出したものの、周囲に停まっている車を見て立ち止まり。フロントガラスにシールが貼ってある。これは、"Umweltplakette"と呼ばれるもので、排ガスに悩まされる大都市が市内の空気汚染を防ぐという名目で導入した代物。そこまでは知っているのだが、このシールはその意味(効果)に疑問があり、ドイツ全土で導入される事はなかった。ベルリンやミュンヘンのような大都市、あるいは緑の党が政権についている南の町で導入された事は聞いていたのだが、デユッセルドルフでこのシールを見かける事が腑に落ちなかった。「ケルンからの車じゃないか。」と思いナンバープレート確認するが、そこには「D」、すなわちデユッセルドルフと書かれている。

「この車の保有者が、ケルンなどの大都市に通勤するのでこのシールを張っている。」と辻褄のいい理由を考えて納得。ところがである。その先の車にもこのシールが張ってある。「この車の保有者が、ハンブルクなどの大都市から引っ越して通きたのでこのシールを張っている。」と辻褄のいい理由を考えて納得。ところがである。その先の車にもこのシールが張ってある。ナンバープレートはやはりデユッセルドルフ。ここまで「偶然」が重なると、現実を受け入れるしかない。周囲で聞いてみると「2年くらい前に導入されたぞ。」という話。全く、知らなかった。一体、いつの間に?きっと休暇でタイやベトナムに行っている間に導入されたに違いない。

この"Umweltplakette"は都市部におけるスモッグの発生を避けるため、この原因とされている窒素酸化物とデイーゼルエンジンから排出される煤などの"Feinstaub"(細かい埃という意味)の放出を防ぐ目的で2006年に国会で決議され、2007年に導入された。厳密を期すならば、居住地区の空気を汚染から守るべく、その区域を"Umweltzone"(環境ゾーン)に指定した。この保護区域に車で入るには、"Umweltplakette"と呼ばれるシールをフロントグラスに(購入して)貼ることが義務化されたわけである。当初は人口が多い大都市、ケルンやベルリン、あるいは環境保護都市の最先端を行くフライブルクのような都市で導入された。「デユッセルドルフはおかしな緑病に犯されていなくて良かった。」と楽観していたが、記録を見てみるとなんと2009年2月に導入されていた

このシールには、説明しなくても誰でにでもわかるように、緑、黄、赤色の3色に分かれている。ガソリンエンジンであれば、2サイクルエンジンや余程古い車でない限り、緑色のシールになる。デイーゼルエンジンでも煤フィルターが付いていれば、通常は緑色のシールが貰える。シール中央部の大きな4は、"Schadstoffgruppe 4"(汚染グループ4)の意味で、一番汚染度の少ないことを意味している。当然、保護区域への乗り入れは、問題ない。これに続くのが黄色のシールで、古いガソリンエンジンや、フィルターのないデイーゼルエンジン車がこれに相当する。信号と同じく、「急いで進め。」という意味ではなく、このシールは危険を示し、数年後には市内への乗り入れが禁止される。ドイツは連邦制なので、その時期は地方自治体が設定する。フライブルクのような環境都市では、2013年1月から市内乗り入れ禁止になっている。遅くとも2015年には環境地区全土で乗り入れ禁止になるので、中古車を購入される場合、この点に注意しよう。最後の赤色のシールは、保護区域への乗り入れ禁止。これは主にトラックなどの大型車両が対象になっている。

言うまでもなく、環境保護区域を指定して車にシールを張るだけでは空気汚染度の改善にはならない。もっともフライブルクのような環境推進派は、「大いに意味がある。」と反対を主張する。そこでフランクフルト大学が環境保護区域の導入前と導入後で空気の汚染度を図ってみた。案の定、環境保護区域導入による改善は発見できなかった。この為、この制度には、「ただの金集め。」という批判が多い。この法令がその効果を発揮できないもうひとつの原因として、例外条項が挙げられる。環境汚染の張本人である工事現場の大型の機械、農場で使用するトラクター、河川を航行する艀、船、工場の機械、さらに軍事車両などは、この法令から解放されている。日本と違って、河川を利用して原材料を工場まで運ぶドイツでは、艀が出す煤の量は比較にならないほど多い。こうした環境汚染の源を放ったらかしにして、(主に)古い乗用車だけを制限しても、その効果はたかが知れている。

こうした背景があっての事か、この"Umweltplakette"はインターネットで5ユーロほどで買えてしまう。勿論、緑色のシールが。(黄色、赤色などを買う人はいない。)中には偽物もあるが、大方は本物である。車検場で本物を発行してもらっても10ユーロ程度(市により値段が異なります。)なので、5ユーロを節約する為の、販売ではない。実際には黄色のシールしかもらえない人が、インターネットで緑色のシールを購入して、法令を回避しているのである。こうしてこの法令はますますその意味を失っている。「どうしてインターネットで本物のシールが買えるのですか。」とドイツの事情に詳しくない方に説明しておくと、このシールは車検場、あるいは排気ガス測定器のある修理工場で発行できる。仕入れ値は1枚、1ユーロもかからない上、前述の条件を満たせば、好きなだけ注文できてしまう。そこで数千枚注文、これをネットで「安価販売」するのである。1枚あたりたかが4ユーロ程度の儲けでも、千枚で4000ユーロの儲けである。いいお小遣いになる。こうしてシールのネット販売が栄える事となっている。

自家用車はガソリンエンジン。インターネットで詐欺の傍らを担がなくても、緑のシールが貰えるので、近くの車検場、Dekraでこれを発行してもらった。10ユーロ。不思議なのはこの法令が導入されてからほぼ4年も経っているのに、一度も違反キップをもらわなかった事。一度は「あのフライブルク」で駐車違反の切符をもらい、去年はデユッセルドルフで交通事故、警察を呼んで現場検証をしてもらったのだが、シールがなくてもお咎めなし。ちなみにシールが貼っていないと罰金40ユーロ。スピード違反などの罰金で市の財政をカバーしている地右方自治体が、みすみす「金のなる木」を見過ごすとは思えない、これは一体、どうした事だろう。

地方自治体では「"Umweltplakette"は正しくない。」という認識があるようで、違反キップをきっている"Politesse"に「寛大な措置」を取る様にこっそり指示を出している。現在、55の都市で"Umweltzone"が導入されているが、真面目にこれをチェックしているのは借金で首が回らないベルリンや、杓子定規で物を見るフランクフルトなどの都市で、3">5都市(全体の2/3)、よりによって真っ先にこの"Umweltplakette"を導入したケルンなどでは、違反キップを切る事は滅多にないという。道理でこれまで違反キップを切られなかったわけだ。逆に警察は偽のシールの摘発を行っているというから、全くおかしな、しかしドイツらしい現象である。


環境を守ってくれる"Umweltplakette"。
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Schufa査定を是正せよ! (28.04.2013)

「(請求書を払わないでも)日本に帰ってしまえば、大丈夫ですよね。」とある日本人。1年ほどのドイツ滞在中、携帯電話やインターネットなど、あちこちで契約。そして帰国にあたり、そう都合よく解約できない事を発見。「解約金を払うよりも、そのまま日本に帰ってしまえ!」という理論なのである。電話会社でも、何処に住んでいるのかわからない外国人、ましてや日本まで請求書を送ってくる事はまずない。ご丁寧にアパートの契約先に、「日本での連絡先」を残していなければ。だからと言って請求額がチャラになるものではない。高校生ならともかく、ちゃんと社会人として自分の名前で契約したのに、その責任も取れないというのでは、その人の人格、信用性が大いに疑われる。ましてやこの時の「置き土産」は、後で時限爆弾となって帰ってくる事がある。

比較的支払いモラルのある日本人でこの様だから、ドイツ人はもっと凄い。知人のドイツ人、管理会社に雇われて、アパートの階段の掃除、設備の修理などをしていたが、ローンで高価なシステムキッチンを注文した。すでに出来上がっているものではなく、自分のアパートのキッチンのサイズに合わせてのオーダーメイドである。一体、一人住まいのドイツ人、滅多に料理をしないのに、そんなキッチンを買う必要があったのか。全自動のコーヒーメーカーのように知人、友人に見栄を張る為に購入したとしか思えない。これ、高価な買い物をしても、支払いは後、に気を良くして居間を映画館に改造して、高価なサウンドシステムを(ローンで)買い入れた。それだけでは済まず、愛車までローンで購入する始末。借金は膨らむ一方で1500ユーロくらいの収入しかないのに、7万ユーロを超える借金の山を蓄積した。幾ら仕事をしてもローンの支払いでもっていかれるので、仕事をするのが馬鹿らしくなった。病欠を繰り返した挙句、次第に出勤もしなくなり、最後には就職先を首になった。そのドイツ人が言うには、「俺に金を貸した銀行が悪い。だから金は返さない。」という、いかにもドイツ的な理論なのである。

「そんな極端な。」と日本人なら思われるだろうが、ドイツではこれが結構、当たり前。アパートを借りると、最初の家賃を払ったきり、以後、家賃を払わないで1年以上も平気で暮らしている。「どうして家賃を払わないんだ。」という大家の催促には、「他に優先する出費がある。」と堂々と言う。当然賃貸契約を解約されるが、そのくらいで簡単に出て行くような輩ではない。大家は裁判所に強制取立てを依頼(数千ユーロかかる。)、その執行人と錠前屋と共に自分のアパートにやってきて、やっとこのボヘミアンを追い出すことができる。インターネットで品物を注文しても支払いは後回し。冒頭の日本人が聖人に思えてくるような様である。"Statistische Bundesamt"という統計を取っている国の機関があるが、その統計によるとドイツ人(言うまでもなく成人)の42%が"Ueberschuludung"借金苦にあるという。ドイツ人の支払いモラルを象徴する数字である。

ドイツでは例え友人であろうとも、又、わずか数百ユーロでも金を貸すべきではない。帰ってくることはない。運よく金が戻ってくると、「申し訳ないが、又、金を貸してくれないか。」と先回の倍、要求される。「そんな大きな金は貸したくない。」と言えば、「先回、ちゃんと返したじゃないか。俺を信用しろ。」と言ってくる。実はこれ、よくある手口である。小銭を借りてこれを返却、信用を得てから大きな金を借りると、とんずらするのである。当然、見知らぬ人間と契約を結ぶのは大きなリスクがある。アパートを貸しても家賃が入って来るかどうか、それは運次第。では、たっまものではない。そこでドイツでは大家などが契約を結ぶ前に、「"Schufa-Auskunft"をもらってこい。」と言われることが多くなった。しかし日本人の場合、「"Schufa"って何なの?」というケースがほとんどだろう。そこでここではこのおかしな名前の機関について紹介してみよう。

まずは名前から。ドイツでよくあるように、この名前は組織の名前の「頭文字」を取ったもので、"Schutzgemeinschaft fuer allgemeine Kreditsicherung"という。日本語に直せば、貸し主保護団体。その役目はドイツに住む人間や企業の査定を行い、この査定を家主、あるいは銀行などの貸し主に販売する事で利益を得ている。早い話が国や企業を査定するMoody’sや、Standard & Poor’sの国内版である。ユーロ危機によりこうした査定会社の役割が注目されているように、借金を抱える国民が多いドイツでは、かってのローマ教皇にも似た絶対権力を持っている。

まずはその査定方法から見てみよう。ドイツで生活をするとお買い物をして、その代金を払うことになる。家賃の支払いは言うに及ばず、電話代金、電気代、インターネット代、ネットでの注文と、その機会は幾らでもある。その支払いの具合で、査定が決まる。冒頭の日本人のように請求書を支払わないと、ここに登録される。その後、この人物が日本で就職して、ドイツに派遣されたとしよう。まずは住む場所が必要になる。大家から、「"Schufa-Auskunft"をもらってこい。」と言われて、"Schufa"に問い合わせるとこの会社が作成した査定に「信用なし。」と書かれているのである。「なんでやねん。」と問い合わせると、「あなたに対して複数の債務者からの数千ユーロの請求が記録されています。」と言われる。そう、かってはたかが数百ユーロの請求だったのに、これを支払わないので、利子と弁護士費用が加算されて、大きく成長したのである。これだけの請求額が残っていると査定はかなり悪く、電力会社、電話会社、インターネット会社との契約、そして銀行口座の開設までも断られてしまう。そんな人物がドイツで生活はおろか、仕事ができる筈はなく、社内で「不適人物」と査定されドイツ駐在生活はあっけなく終わることになる。

そんな目に遭うと、「査定を是正して欲しい。」と、査定会社に交渉を試みるに違いない。しかし査定会社の資産は、金を払って収集したこの情報である。「査定を是正してください。」と言われて、「はい。是正しますた。」とやるのでは苦労して集めたデータが無駄になる上、査定会社の信用を失うことになる。だから査定会社がその査定を個人の要求で変更することはない。例外は、残っている借金を返済すること。借金を全額返済すると、マイナスの記録は消える。ただし3年後に。ここで査定されると一生物である。ドイツで生活するなら(ドイツに限った事ではないだろうが)、社会人としての義務は果たすべきである。もっとも、「ドイツなんて、二度と来ないよ。」という場合は別であるが。

問題は、インターネット上などで詐欺に遭った場合。実際にあった某日本人のケースを挙げてみよう。目的地までのルートを検索する目的で、"routenplaner"と入れてぐぐってみた。検索結果をクリック、データを記入すると、「あなたの住所、氏名を記入してください。」と要求される。深く考えないで、「仲の悪い同僚の名前を入れちゃえ!」と他人の名前を借用して記入、ルートを検索した。数日後、「あなたは1年のアボ(アボネモン/契約)に同意しました。」と書かれた手紙が届く。手紙には1年の会費、119ユーロの請求書も同封されている。「架空の名前を使ったのに、どうしてわかったんでしょうか。」と不思議そうな日本人。誰が本当に申し込んだが、そんな事はIPアドレスですぐにわかってしまう。名前や住所などを変えても"Widerstand ist zwecklos"(無駄な抵抗)である。

「どうしたらいいんでしょうか。」とオロオロしていると、「そんな根拠のない要求は無視すればよろしい。」というアドバイスを受ける。本人は親切心でアドバイスしているのであろうが、大きな間違いである。そのような手紙が届くとまずは"Einschreiben mit Rueckschein"で契約を解約するのが第一である。契約を解約しないと、これが正規の契約になるばかりか、自動的に更新されて、2年、3年と自動更新されていくからだ。支払い要求を無視していると、弁護士費用が加算されて、数千ユーロの要求になる。そうなると、これは"Schufa"に登録されて、何も悪いことはしていないのに、マイナスの査定になる。幸い、このようなケースでは、"Schufa"は査定の是正をしてくれるが、まずはこの要求が不正なものであった事を弁護士、必要とあれば裁判結果で証明しなくてはならない。これには数千ユーロ必要になるので、おかしな請求書が届いたらこれを無視しないで、近くにある消費者センターで相談しよう。

"Schufa"の査定方法は、何も請求書の支払いばかりではない。これまで全部請求書を期限通り払っているのに、あまりよくないスコア(査定)を受けることがある。というのも支払い関係で「ボロ」がでない国民の場合、"Schufa"は住んでいる住所や職業で査定を下す。外国人の多い家賃の安い地域に住んでいれば、スコアは低くなり、高級住宅地に住んでいれば、スコアは高くなるというわけである。一般に公務員、雇用者はスコアが高く、被雇用者、その中でもパートなどはスコアが低い。ちょくちょくトラブルになるのは、名前が似ていたりして、他人の悪いスコアが間違って与えられるケース。銀行に融資の相談に行くも、何処の銀行でもこれを断られてしまう。「何かがおかしい。」と"Schufa-Auskunft"をもらって見れば、そこには見に覚えのない借金が記録されていることもある。これを是正するのは大変。査定会社は記録を信用して、悪い査定の人間の言い分を信用しないからだ。

皆まで言えば、この"Schufa-Auskunft"はここからオンラインで請求する事ができる。勿論、有料で18ユーロ50セント。一見すると自分のスコアを見るのも有料のようだが、政府が定めた法令、"Bundesdatenschutzgesetz"を引用すれば、国民は年一回は自身のスコアを無料で要求することができる。ただし、「あなたのスコアを無料で要求しよう!」なんてホームページに書いてしまうと、お金にならない要請が殺到するので、ホームページには書かれていない。「払っていない請求書が幾つかある。」という人は、一度、査定を要求してみてはどうだろう。


ドイツで絶大な権力を誇る査定会社。
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